京大など、負電荷をもつ水素の新たな性質を発見——圧縮しやすく、金属原子間の相互作用を遮断

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京都大学、日本大学、オックスフォード大学による研究グループは2017年11月1日、負の電荷をもつ水素(ヒドリド)が極めて圧縮されやすく、また金属原子間の相互作用を対称性の違いでブロックすることを明らかにしたと発表した。

水素は通常、正に帯電したイオン(プロトン:H+)として存在する。しかし近年負の電荷をもつ水素イオン(ヒドリド:H)を含む酸化物が次々と報告され、固体燃料電池や触媒などの新材料の候補として期待されている。だが現状では、基本的な性質がほとんどわかっていない。

今回同研究グループでは、ヒドリドを含む層状の酸化物SrVO2Hに圧力を加える実験によって、ヒドリドが非常に柔らかで圧縮しやすく、酸素イオンと比べると、高圧下ではヒドリドが約2倍も縮みやすいことを明らかにした。

さらに、ヒドリドは層間の金属原子間の相互作用をブロックするという性質をもつことを発見した。金属原子間の相互作用は、その間に位置する陰イオンの電子軌道の形によって決まる。ヒドリド以外の陰イオンが挟まれている場合は、金属の結合に関わる電子軌道(d軌道)が陰イオンのダンベル型の電子軌道(p軌道)と同じ対称性をもつため相互作用できる。一方、ヒドリドが挟まれている場合は、d軌道とヒドリドの最外殻の球状の軌道(s軌道)とは対称性が異なるため、金属原子間の相互作用は無視できるほどに小さくなる。

今回取り上げたSrVO2H中では、ヒドリドが金属の相互作用を遮断し、ヒドリドの高い圧縮率にもかかわらず良好な2次元性を保つことが明らかになった。この結果は、ヒドリドを利用することで、厚いセパレーターを使わなくても、原子レベルで電子状態の次元性を制御できることを示している。同研究グループは、今回得られた新しい戦略を用いて、今後ヒドリドを含んだ様々な磁気・電子材料の開発が期待されるとしている。

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