東京農工大、性質の異なる溶媒中でも安定的に分散できる「オーダーメイド」可能な分散剤を開発

東京農工大学は2017年12月28日、金属酸化物のナノ粒子を水にも油にも安定に分散させることに成功したと発表した。ナノ粒子に取り付ける「分散剤」に着目し、性質の異なるさまざまな溶媒中でも安定的に分散できる分散剤を開発した。この分散剤は目的や使用する有機溶媒に応じて合理的に設計・合成する「オーダーメイド」が可能で、作成したナノ粒子の特性を十分に発揮できるものとしている。

ナノテクノロジーでは、さまざまな材質からナノ粒子を作り、その性質を調べて応用する。しかし、ナノ粒子は互いにくっついてすぐに大きな塊になってしまうため、作ったナノ粒子をナノサイズのままで安定に保つ「分散状態」を維持することが極めて重要になる。分散性を向上させるためにナノ粒子の表面に取り付ける有機化合物を分散剤と呼ぶが、作ったナノ粒子や、ナノ粒子を分散させたい溶媒の種類によって、どのような分散剤を用いるべきなのかは、試行錯誤を重ねて判断していた。

今回の研究では、新たに親水性(水によく馴染む性質)と疎水性(油によく馴染む性質)の構造を併せ持つ、両親媒性のホスホン酸系の分散剤を設計・合成した。ホスホン酸はさまざまな金属酸化物に強く吸着することが知られている。この分散剤を酸化チタンのナノ粒子の表面に取り付けたところ、親水性の高いメタノールと疎水性の高いトルエンのいずれにも安定に分散させることに成功したという。

さらに、この2種の溶媒に限らず、メチルエチルケトンやテトラヒドロフランなど汎用性の高いさまざまな溶媒にも安定に分散させることが可能だ。分散剤の親水性と疎水性のバランスをわずかに変化させるだけで、分散剤としての機能に大きな影響を及ぼすことも明らかになった。この発見により従来の試行錯誤によらず、目的や使用する有機溶媒に応じた分散剤の合理的な設計・合成が可能になったとしている。

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