- 2023-2-3
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- 3Dバイオプリンティング技術, Steakholder Foods, Umami Meats, ウナギ, ハタ, バイオインク, 培養シーフード
3Dバイオプリンティング技術の研究開発に取り組むイスラエル企業のSteakholder Foodsは2023年1月3日、シンガポールのUmami Meatsと共同で、3Dプリンティングによってウナギとハタを生産すると発表した。
両社は培養シーフードを大規模に生産する技術の開発に着手。Steakholder Foodsは、魚を調理したときの食感を再現する仮特許出願済みの技術を開発しており、その技術も採用する計画だ。Steakholder Foodsの3Dバイオプリンティングとバイオインクの技術を使って、最初のプロトタイプとして培養したハタ製品を2023年3月までに完成させる見通しだという。
Umami Meatsは、“not caught(捕らない)”シーフードを広めるべく、養殖した魚からサンプルを採取して培養することで、おいしくて栄養価の高い培養シーフードを加工している。
培養シーフードを生産する工程は、まず魚からサンプルを採取。そこから、筋肉や脂肪になる可能性のある幹細胞を抽出して培養する。次に、細胞を大型のバイオリアクターに移し、数百万個の細胞を数兆個に増殖させ、信号を送ることで筋肉や脂肪に変化させていく。最後はその筋肉や脂肪を、寿司や刺身、かまぼこや切り身などへ加工。シェフやレストラン、高級食材を扱う業者と提携して培養シーフードを世界各国へ届けている。
こうして作られた培養シーフードの輸送にかかるCO2排出量は、水産物を生きたまま輸送する場合と比較して95%、水産養殖での排出量と比較しても60%近く削減できる。また、自然界の魚は、水銀、マイクロプラスチック、寄生虫、その他の毒素の影響を受けやすいが、培養シーフードはその心配もなく、妊娠中の人でも安心して食べられるという。
現在同社では、うなぎ、キハダマグロ、フエダイの3製品を提供している。