水は1種類ではない――2種類の異なる液体で存在することを確認

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ストックホルム大学は、水が2種類の異なる液体で存在することの実験的証明に成功した。水の特異性の解明に向けた大きな一歩であり、研究成果は、米国科学アカデミー発行の機関誌『PNAS』(米国科学アカデミー紀要)に掲載されている。

水は我々にとって身近な存在だが、水の持つ性質は実は一般的ではなく、特異なものであることはあまり知られていない。大気圧下の水であれば、水は4℃の時に最も密度が高く(重く)なり、凍結して氷になれば水に浮く。気温が下がれば湖は水面から凍るが、湖底には氷ではなくもっとも重い4℃の水が存在することになり、湖面が凍結していても魚は生息できる。こうした水の特性のもとに、地球上の生命は生かされているのだが、大半の物質は凝固すると体積が減少して液体より重くなる。凝固すると体積が増加して固体が液体に浮くのは実は水やビスマスくらいしかなく、このような融点や密度、熱容量のように他の液体と異なる特殊な性質は70にも上るという。

一般的に知られている水と水が結晶化した氷(大気圧下で作られる「氷Ⅰ」と呼ばれるもの)以外の状態として、水を結晶化しないようにして極低温にすると「アモルファス氷」と呼ばれるガラス状の固体になる。このアモルファス氷には低密度アモルファスと高密度アモルファスという性質の異なる2種類の状態があることが知られている。ストックホルム大学の研究チームは、この結晶化の進行がきわめて遅い低温において、アモルファス氷から粘性の高い水への変化の過程での分子構造の変化をX線解析によって観察した。

ストックホルム大学の化学物理学教授Anders Nilsson氏は、「水が取りうる2種類の液体の分子構造は、米アルゴンヌ国立研究所のX線分析装置を使って確認した。また、ハンブルグにあるドイツ電子シンクロトロンにて、2種類の構造の挙動が観察した。それらの観察結果は、液体に固有な拡散現象の存在を示しており、これにより2種類の構造は液相の状態だと特定された」と説明する。

ストックホルム大学の理論化学物理学教授のLars Pettersson氏は、「この発見の意味するところは、室温にある水は高密度と低密度のどちらの構造をとりうるのか決められないということだ」という。「結局のところ、水は複雑な液体ではなく、複雑な関係をもった2種類の単純な液体だといえる」と、その発見の意味するところを説明する。

関連リンク

Water Exists as Two Different Liquids – Stockholm University

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