耐久性/耐水性が高く、導電性が低下しにくいイオン液体型帯電防止剤を開発 GSアライアンス

GSアライアンスは2022年11月16日、耐久性、耐水性が高く、長期間、導電性が低下しにくい、新規のホスホニウム系のイオン液体型帯電防止剤を開発したと発表した。開発したイオン液体は、各種の高分子、ポリマー、樹脂、プラスチック、ゴム材料などに添加して、帯電防止剤として使用できる。

帯電防止剤は、添加、塗布された物質の導電性を向上させ、静電気が持つ問題である発火の原因、静電状態の破壊、塗装印刷不良の原因、ほこりの付着、それらの現象から生じる生産効率の低下などの影響を軽減する。

代表的な帯電防止剤には、無機フィラー、導電性高分子、界面活性剤などがあるが、無機フィラーや導電性高分子は、透明性が無くなったり、添加量で樹脂そのものの性質が変わってしまう懸念がある。また、界面活性剤系の帯電防止剤は、温度による導電性の変化や、樹脂表面に添加された界面活性剤のブリードアウトにより、それが取れた際に帯電防止効果が無くなるなどの懸念点がある。

イオン液体型の帯電防止剤の場合は、イオン液体の濃度の偏りで樹脂表面付近に存在させ、電荷の偏りを軽減することで帯電防止機能を発現するため、温度依存性が少ないという特長を有する。さらに、イオン液体は透明なため、無機フィラーや導電性高分子を用いた場合と比べ透明性を維持できるという大きな特長がある。

しかし、条件によっては経過時間に伴う持続性に問題があり、添加された樹脂の表面にブリードアウトしてきて、それが拭き取りなどで無くなると、帯電防止効果が無くなる課題があった。また、耐水性が弱いことも問題になっていた。

今回開発したイオン液体型帯電防止剤は、これらの課題を解決するもので、耐水性、持続性に優れ、ブリードアウトが起こりにくくなり、帯電性の低下も長期間抑制できる。

たとえば、1~10wt%の量をウレタンアクリレート系のUV硬化樹脂に添加し、熱や紫外線で硬化させると、約109~1012Ω/□の表面抵抗率を示した。他のイオン液体型帯電防止剤と比べた場合も、経時変化が少なく、耐水試験後も導電性を維持した。

不燃性、不揮発性で、高熱にも比較的安定なイオン液体のため、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エンジニアリングプラスチック、接着剤、粘着剤といった、一般的な帯電防止剤では熱分解してしまうような高温加工が必要なものにも導電性を付与できる。透明性に優れ、種々の光学用途、電子部品、ディスプレイ、半導体などの用途にも適している。

同社は今後、国内外に開発したイオン液体型帯電防止剤を事業展開していく。

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