三菱電機、電力損失が世界最小クラスのSiCパワー半導体素子を開発

三菱電機は2017年9月22日、電流を高速に遮断する保護回路無しで使える、電力損失が世界最小クラスのSiCパワー半導体素子を開発したと発表した。

パワー半導体は、家電製品から産業用途、鉄道車両など幅広い分野で使用されている。そのため、高効率・小型化の強いニーズがあり、同社では従来のシリコン(Si)より低抵抗化が可能なシリコンカーバイト(SiC)を用いた金属酸化膜半導体電界効果トランジスター(MOSFET)を採用してきた。しかし、SiCを用いた場合、その抵抗の低さから短絡時に発生する電流が増大。パワー半導体素子が破壊されるまでの時間(短絡許容時間)が短くなるという問題があった。そのため、電流を高速に遮断する保護回路を用いる対策などが必要になり、素子抵抗もしくはチップサイズを増加する必要があった。

そこで同社は、SiC-MOSFETのソース領域を複数に分け、ソース抵抗制御領域を形成する独自構造を開発。搭載機器の短絡発生時の電流を低減して素子破壊を抑制し、従来構造のSiC-MOSFETと比較して、20%以上の電力の低損失化に成功した。

これにより、さまざまな耐圧のSiC-MOSFETに適用できるほか、Siパワー半導体ですでに確立されている短絡保護回路技術も併用でき、パワーエレクトロニクス機器への搭載時の回路設計負荷を軽減すると説明している。

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