産業用ロボット1台は3.3人分の労働力に相当――米MIT調べ

Image: Stock image edited by MIT News

ここ数十年、ロボットが労働者の代わりとなって、製造業を中心に活躍している。ロボットによる自動化のために、将来、仕事がなくなると悲観する人もいれば、そのようなシナリオに懐疑的な人もいる。果たして、実際のところはどうなのだろうか。米マサチューセッツ工科大学(MIT)のDaron Acemoglu教授らによる分析によれば、雇用や賃金に与えるマイナス影響は確かにあるという。しかし、仕事が全て奪われる心配はないようだ。

Acemoglu教授らは、研究に際し、世界中で統計をとっている国際ロボット連盟(IFR)が有する19の産業のデータと、米国勢調査局、経済分析局、労働統計局などからアメリカ国内の人口、雇用、ビジネス、賃金に関するデータを抽出して併せて利用した。

アメリカ国内の1990年~2007年のデータによれば、労働者1000人当たり1台のロボットを導入すると、全国での雇用率が約0.2%減少していた。これは、平均で約3.3人の労働者に置き換わっていることを示している。

ロボット導入の影響は、地域や産業によって大きく異なる。アメリカでは、産業用ロボットのうち70%を製造業が占めている。内訳は、自動車メーカーが38%、電子機器メーカーが15%、プラスチック/化学工業が10%、金属メーカーが7%だ。特に、自動車産業が集中しているデトロイトでは、他の地域よりも影響が大きい。こうした地域では、ロボット1台が約6.6人分の労働力に置き換わることが分かった。

とはいえ、製造業がロボットを利用することで商品の価格が下がり、地域の人々や他の産業に利益をもたらすことになる。こうした国全体での経済的利益があるため、ロボット1台が3.3人分の労働力に置き換わると研究者らは算出した。

また、職場でのロボット利用が増加することで、1990年から2007年までの間に、賃金も約0.4%下落していた。製造工場にロボットを導入すると「ロースキルや、特にミドルスキルの労働者に負担がかかる。これは、我々の研究の中で非常に重要な部分だ」とAcemoglu教授は語る。オートメーション化が、実は、過去30年間で所得格差を拡大させる大きな要因になっていたと分析している。

また、アメリカとヨーロッパの新規ロボット導入率を比較し、1993年~2007年で、アメリカでの導入率は労働者1000人当たり約1台だったが、ヨーロッパでは1.6台だったことも報告している。

機械が人間の仕事を全て奪うという主張は大げさかもしれないが、今回の研究は、ロボット導入の影響が製造業において非常に現実的なもので、社会への影響が大きいことを示している。研究結果は、『Journal of Political Economy』に2020年4月22日付で掲載されている。

関連リンク

How many jobs do robots really replace?
Robots and Jobs: Evidence from US Labor Markets

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