発電所の冷却塔で失われる水の20~30%を回収できる新手法、MITが開発――年間数億円以上のコスト削減に

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Courtesy of researchers

米マサチューセッツ工科大学(MIT)は2018年6月8日、発電所で消費される水を回収し、低コストで再利用できるシステムを開発したと発表した。飲用水として都市部へ供給できるばかりか、発電所関連の建設・運用費の削減につながる可能性もある。

アメリカでは、河川や湖などから引き込む水の約39%は、火力や原子力を使う発電所で冷却水として使われ、水蒸気になって排出される。

これまでにも水蒸気から水を回収しようと、プラスチックや金属でつくった網を通過させる手法が用いられてきた。しかし、航空機が飛行する際には主翼の上下に気流が分かれて流れていくように、空気の流れは障害物となる網を避けようとする。従って、網に水滴がつきにくく、水蒸気に含まれる水分のうち回収できたのはわずか1~3%ほど。効率が極めて悪かった。

そこでMITの研究チームは、この効率を改善する手法を研究。水蒸気が網を通過する前にイオンビームを照射したところ、水滴が網に集まるようになり、回収率が劇的に改善するようになった。必要な設備も単純なもので済み、低コストで運用できるという。

今回開発したシステムを使えば、600MWの発電所から年間1億5000万ガロンの水を回収できるようになる。発電所の冷却塔から失われる水の20~30%ほどを再利用できるようになり、金額に換算すると数億円に相当する。

アメリカの現状を考えると、多くの発電所が海岸沿いに建てられ、海水を使って冷却している。海水を使用するには脱塩施設が必要になるが、MITの新システムの導入コストは脱塩施設の3分の1ほどで済み、運用にかかるコストについては50分の1ほどにまで圧縮できると試算している。2年ほどで設備投資を回収できる見通しだと説明している。

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