- 2017-7-26
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- 2Dカメラ, Ali Hajimiri教授, カリフォルニア工科大学, 超薄型OPA
カリフォルニア工科大学は、光学レンズに代わる超薄型OPA(Optical Phased Array)素子を使った新しいカメラ技術を発表した。
フェーズドアレイは、携帯電話のアンテナやレーダーなどに使われている。位相のずれた波が相互に干渉すると方向によって強め合ったり消滅したりする現象を利用することで、パラボラアンテナのような可動部を持たない平面に配置したアレイで、ビームの方向を制御できる。
この原理を受光する方向に応用し、特定の方向からの光を受け、他の方向からの光を相互に打ち消させるのが今回発表された技術だ。一般的なデジタルカメラのように厚みのある光学レンズによって受光素子上に集光するのではなく、平面上に並べられた極薄のOPAチップの表面に形成された回析格子カプラで受けた光を、位相シフトした基準光とミックスし、特定の方向からの光のみを抽出する。
基準光の位相をフェムト秒(1000兆分の1秒)レベルの精度で制御して光を受ける方向をコントロール、全方向をスイープしてイメージを作る。アレイの受光の仕方を電子制御すれば、その光学特性を魚眼レンズから望遠レンズまで即座に切り替えることも可能だという。
研究チームのAli Hajimiri教授は「紙のように薄いOPAを使い、可動部、レンズ、ミラーも必要としないこのカメラは、イメージングの新たな世界を開くものだ。将来的には壁紙やブラインド、そして衣服そのものをカメラにすることさえ出来るだろう」と、その可能性を語る。
発表された2Dカメラは、64個の受光素子を8×8のグリッドに並べたもので解像度は高くない。今後研究チームは、受光素子の数を増やし解像度と感度を上げたカメラの開発取り組むとしている。