汚染された水から有害な水銀を効率的に除去する手法を発明

水銀や有害な重金属による水質汚染は、環境破壊をもたらし、深刻な健康被害を引き起こす大きな問題だ。スウェーデンのチャルマース工科大学の研究者らは、電気化学プロセスによって汚染された水を浄化する全く新しい方法を発明した。研究結果は、科学誌『Nature Communications』に掲載されている。

研究を率いる同大学物理学科のBjörn Wickman氏は、「今日、大量の水から微量だが有害なレベルの水銀を除去することが、重要な課題になっている」とし、「私たちの手法では、液体中の水銀含有量を99%以上減らすことができ、これは十分に安全な飲料水と呼べるレベルだ」と語る。

研究チームが開発した手法は、水に含まれる重金属イオンを他の金属と合金化することで電気化学的に除去するというもの。電極となる金属プレートに貴金属のプラチナを使うことで、有害な水銀を合金として固定、水から水銀を除去できる。これら2種類の金属によってできる合金は非常に安定しているため、水銀が再び水に溶解することはない。

この手法の優れている点は、プラチナの電極がもつ容量だという。各プラチナ原子は4個の水銀原子と結合でき、しかも金属板表面だけでなく内部まで水銀が浸透して厚い層を形成する。そのため電極としての寿命が長く、使用後は水銀を安全な方法で取り除いた上で、再使用することもできる。しかも選択的に水銀だけを除去できるため、水に含まれている無害な成分を吸着してエネルギーや電極を消耗することがないため、とても効率的な手法だという。

この新たな発明は特許を申請中で、これまでにスウェーデン国内外で多くの賞を受賞している。商業化のためAtiumというスタートアップを立ち上げたというWickman氏は、「この方法を試したいという多くの引き合いを受けている」とし、現在は実環境で試験できるプロトタイプを制作中とのことだ。

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Removing toxic mercury from contaminated water

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