反射率を従来の1/10以下に抑えた高耐久性偏光シートを開発――新たに開発した厚膜ナノ印刷技術により実現 産総研など

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開発した低反射率で高耐久性のワイヤーグリッド偏光シート

産業技術総合研究所は2019年7月1日、従来よりも耐久性、透明性が高く、しかも反射率を抑制したワイヤーグリッド偏光シートを開発したと発表した。

今回の開発は、菱江化学、東海精密工業、伊藤光学工業との共同によるものだ。従来のワイヤーグリッド偏光素子は、偏光度や透過率が高いが、綿密に成膜された金属を用いるために反射率が高かった。そのため、その用途は液晶プロジェクターなどに限られていた。

今回の開発では、金属インクでワイヤーグリッド偏光素子の構造を形作り、適正な焼成を施すことで偏光度99%以上でなおかつ反射率5%以下と、高い偏光度を持ちながら反射率を従来の10分の1以下に抑えることに成功した。

ワイヤーグリッド偏光シートおよび開発に用いたモールドの構造

可視光用のワイヤーグリッド偏光素子には、可視光の波長(400~800nm)よりも十分細い幅のワイヤー構造が必要だ。今回新たにナノインプリント技術やぬれ制御技術、印刷技術を適切に融合させることで、線幅50nm以下、アスペクト比10以上の金属インクパターンが形成できる厚膜ナノ印刷技術を開発した。

開発したシートは銀ナノ粒子インクの低温焼成体によるワイヤーグリッド構造で偏光機能を発現させているが、ワイヤーの表面と裏面に凸凹形状を形成し、さらにテーパーを付与することで低反射率化を実現した。

また、今回の開発品は、焼成工程で形成された金属焼成体により偏光素子機能が発現しており、またシート表面の深い溝に金属焼成体が埋め込まれているため、耐熱性や耐湿性、耐光性および耐スクラッチ性を持つ。これにより、これまで適用が難しかった眼鏡や自動車分野への展開も期待できるという。

今回の開発では、ワイヤーグリッド偏光素子の低反射率化を達成したが、今後は偏光度と透過率を両立させる研究開発を進める予定だ。また、開発した技術が多くの産業分野で活用されるよう、サンプル提供や共同研究などの企業連携も推進していく。

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