海水中で最も速く分解するバイオプラスチックを開発――二酢酸セルロースを改良して作製

Photo by: Rachel Mann/©Woods Hole Oceanographic Institution

ウッズホール海洋研究所(WHOI)の研究チームは、海洋中で最も速く分解するバイオプラスチックを開発した。木材パルプ由来のプラスチック類似ポリマーである二酢酸セルロース(CDA:cellulose diacetate)を改良した材料だ。研究成果は、『ACS Sustainable Chemistry & Engineering』誌に2024年10月17日付で公開されている。

CDAのような多くの生分解性材料が開発されるなか、研究者たちは海洋環境に害を及ぼすことなく従来のプラスチックに取って代わることができる材料開発を競っている。

WHOIの研究チームは長年にわたり、海洋で寿命の短いプラスチックの種類、あるいは逆に寿命の長いプラスチックの種類、ストローや食品包装紙などのプラスチック汚染の原因とプラスチック製品の種類の特定について研究してきた。

今回、WHOIの研究チームはバイオプラスチック製造企業である米Eastmanと共同で、従来の固いCDAに細孔を加えた発泡CDAを開発した。従来型CDAと発泡CDAを、海水を連続で流す水槽に入れてモニタリングしたところ、36週後に発泡CDAの質量が65~70%減少していた。なお、水槽は温度や光の制御のほか、微生物や栄養分の補給など、絶えず変化する海洋環境を模倣している。

以前の研究で、研究者チームは一般的なプラスチック、紙、従来型CDAで作られた飲料用ストローを試験し、紙製と従来型CDA製のストローが速く分解されることを明らかにした。さらに、従来型CDAと発泡CDAの2種類のCDA製ストローの比較では、発泡CDAストローの分解速度は従来型CDAストローよりも190%も速く、環境寿命は紙製ストローよりも短いことを確認している。

発泡CDA製品はすでに市場に登場しており、Eastmanからは発泡CDA製の堆肥化できる軽量トレイが発売されている。

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