- 2020-7-10
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- Nature Communications, Yadong Yin, Zhiwei Li, カメレオン, カリフォルニア大学リバーサイド校, ナノマテリアル, ナノロッド, ロボット
米カリフォルニア大学リバーサイド校は、カメレオンのように色が変化するロボットの実現を可能にするナノマテリアルを製作した。
このマテリアルは金ナノ粒子で作られたフィルムで、曲げる、ひねるなどさまざまな動きに応じて色が変化する。ナノマテリアルは、大きさ数十ナノメートルの物質で、金や銀をナノマテリアルにすると、大きさや形、向きによって色が変化する。
同校のYadong Yin教授は「我々の場合、金をナノサイズのロッドにした。ロッドを特定の方向に向ければ、色をコントロールできることは分かっていた。ある方向に向けると赤く見え、45度動かすと緑に変化する」と説明する。問題は、むらなく色を出すために、どうやって溶液中を浮遊する何百万もの金ナノロッドを同じ方向に向けるかということで、研究チームは、より小さな磁気ナノロッドを大きな金ナノロッドに接合させることでこの課題を解決した。
チームは、サイズの異なる金ナノロッドと磁気ナノロッドをポリマーシールドに封入し、横並びの状態を保つことで、ロッドの向きを磁石でコントロールできるようにした。ナノロッドを乾燥させてフィルム状にすると、ナノロッドの向きは固定されて磁石に反応しなくなる。しかし、このフィルムに柔軟性があればフィルムを曲げたり回転させたりでき、向きの変化に応じて色が変わる。
見る方向によって色が変わるマテリアルは他にもあるが、その製作は難しく、また、大きな面積の物を作るにはコストも高くなる。今回開発されたフィルムの場合、どんな大きさの物体の表面でも、家をスプレーペイントするのと同じようにコーティングできるという。
このマテリアルの詳細は、2020年6月8日付で『Nature Communications』に掲載されている。このフィルムの究極の使い道は未来的なロボットだが、研究論文の筆頭著者であるZhiwei Li氏は、例えば小切手や紙幣に組み込む認証機能といった他の用途にも使えるとコメントしている。