MIT、核融合向けに高温超電導磁石の試験結果を発表

Credits:Image: Gretchen Ertl

マサチューセッツ工科大学(MIT)のプラズマ科学・核融合センター(MIT PSFC)とCommonwealth Fusion Systems(CFS)が、20テスラの磁場強度を達成した大型磁石の、設計から性能評価に関する研究成果を発表した。CFSは、MITからスピンアウトした企業であり、2018年から共同研究を開始し、2021年9月に高温超電導材料からなる新しいタイプの磁石を完成させ、核融合発電所に組み込むために十分な強度である20テスラを達成していた。

今回、PSFCとCFSの研究チームによる詳細な報告書がまとまり、「IEEE Transactions on Applied Superconductivity」2024年3月号の特集号に6本の査読付き論文集として掲載された。論文集には、磁石の設計と製作、評価の過程から得られた知見がまとめられている。

2021年9月の実証実験以前も、核融合発電に十分な強度の超電導磁石は入手可能だった。しかし、サイズとコスト面で実用化が不可能であった。実証実験によって、強力な磁石は大幅に小型化され、核融合炉のワット当たりのコストはほぼ40分の1になると見積もられ、実用性が示された。

核融合を実現するためには、非常に高い温度と圧力で燃料を圧縮する必要がある。しかし、そのような温度に耐えられる材料は知られていないため、燃料は非常に強力な磁場によって保持されなければならない。

強力な磁場の発生には超電導磁石が必要であり、これまでの核融合磁石は絶対温度4K(-270℃)の極低温で超電導となる材料で作られていたが、最近20K(-253℃)の超電導材料REBCO(希土類バリウム銅酸化物)が核融合磁石として開発された。16K異なるだけであるが、材料特性と応用工学面で大きな利点をもたらすという。

REBCOを利用するためには、単に既存の磁石の設計に代用すればいいわけではなく、超電導磁石の製作に使うほぼ全ての原理を1から作り直す必要があった。「IEEE Transactions on Applied Superconductivity」誌に掲載された論文では、すでに特許保護されている再設計過程の詳細が記載されている。

関連情報

Tests show high-temperature superconducting magnets are ready for fusion | MIT News | Massachusetts Institute of Technology

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