東大、機械的刺激により見た目の色を大きく変える分子を発見

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フルオレニリデン-アクリダンの色の変化

東京大学大学院工学研究科の松尾豊特任教授らは2017年11月13日、機械的刺激により吸収色(見た目の色)を大きく変える物質の合成に成功したと発表した。

押すなどの機械的な刺激で性質を変化させる現象をメカノクロミズムといい、そうした性質を持つ材料はメカノクロミック材料と呼ばれる。機械的刺激で発光色を変える材料は多くあるが、発光色ではなく吸収色を変化させるメカノクロミズムはあまり例がなかった。

今回、松尾教授らの研究グループでは、フルオレンとアクリダンと呼ばれる有機芳香族化合物を二重結合で連結した、フルオレニリデン-アクリダンと名付けた化合物を新たに合成。この物質に力を加え見た目の色を変化させたことで、励起状態ではなく分子が安定した基底状態でのメカノクロミズムであることを示した。

この物質の黄色い粉を乳鉢ですりつぶしたところ、濃い緑色に変化した。これは通常の有機分子の結晶を砕くと色がやや薄くなることと逆の現象となる。この色の違いは、短い波長の光を吸収する「折れ曲がり配座」と呼ばれる形態と、長い波長の光を吸収する「ねじれ配座」と呼ばれる形態という分子構造の違いによるもので、その変化には結晶性の変化が関係していることがわかった。

合成した直後の黄色い粉は結晶質で、結晶中では分子の構造は折れ曲がり配座で分子が整列している。これを砕くと非晶質の粉となり、分子の配列が解けて、ねじれ配座と折れ曲がり配座を行ったり来たりするようになり、見た目の色が濃い緑色になる。マクロな力学的応力を分子構造の変化というミクロな変化につなげることは通常困難だが、結晶性の変化をうまく利用することで可能となった。

さらに今回の研究では、見た目の色の変化だけでなく、電気的な性質の変化も確認した。折れ曲がり配座とねじれ配座の電荷輸送特性を評価したところ、ねじれ配座の方が電気を流すのに適した構造となっていることがわかった。

今回開発した物質は、機械的刺激という入力情報を、見た目の色と電気特性の変化という2つの出力情報に変換できる。押すと色が変わるタッチパネルや、光学的、電気的に検出する応力センサーなど、新しい機能をもつデバイスへの応用も期待される。

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