グラフェンナノフレークに特殊な量子干渉を発見――スピントロニクスデバイスへの応用も

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イタリアのScuola Internazionale Superiore di Studi Avanzati(SISSA)のMassimo Capone研究員らの研究グループは、六角形のナノ構造を持つグラフェンフレーク(薄片)がもつ新しい磁気特性を発見したと発表した。グラフェンフレークに固有なこの磁気特性は、特にスピンエレクトロニクス分野での応用に期待が寄せられている。研究成果は『Nano Letters』に論文「Quantum Interference Assisted Spin Filtering in Graphene Nanoflakes」として2018年2月23日に発表されている。

研究者らは、グラフェンナノフレークの特性を分析することによって、2つの重要な現象を観察した。第1の現象は、電子間の干渉といえる量子的な現象だ。ナノフレークという極小領域のみに見られる現象で、特定の条件では電子が「破壊的」に相互干渉し、電流が流れなくなる。これはナノエレクトロニクスとしての応用が可能で、破壊的な干渉が起きて電流が流れない状態を「オフ」、電流が流れる状態を「オン」とする「量子干渉トランジスター」として定義できるものだ。

第2の現象は、ナノフレークにはグラフェンシート全体としては顕在化しない磁気特性があること、すなわち外部磁場の介在がなくてもナノフレークのエッジ部に自発的に磁気が発生し、スピン電流が生じているというものだ。

この磁気特性と先に説明した量子干渉現象を組み合せると、スピンに依存した量子干渉現象が生じ、ほぼ完全なスピン偏極による電流が得られることになる。この上向きスピンと下向きスピンを例えば「0」「1」に相当するバイナリコードとして解釈することで、コンピューターのメモリーなど情報処理技術に応用できる可能性がある。これはスピントロニクス(マグネットエレクトロニクス)分野での利用が期待できる現象と言える。

さらに研究者らは、応用可能なデバイスの効率向上と偏極率の増大のだめ、窒素とホウ素から成る表面と相互作用するグラフェンフレークの理論解析を行い、量子干渉現象がグラフェンフレークの対称性に由来することを見出した。そして六方晶の窒化ホウ素をグラフェン薄片の境界に層成長させてグラフェンの副格子の対称性を破ることで、スピン偏極を制御できるというプロトコルを理論的に示した。これにより、例えば、上向きスピンと下向きスピンが等しい比率で存在する電流を通し、下向きスピンだけを「破壊的な干渉」によって除去することで、出力される電流は上向きスピンだけを持つというスイッチャブルなスピンフィルターといったデバイスが考案できるとしている。

こうしたデバイスは、グラフェンが備える特殊な伝導特性による恩恵を享受できるとともに、スピン制御に外部磁場を必要としない利点を備えており、今後さらに実験検証を進めるとしている。

関連リンク

Graphene flakes for future transistors
Quantum Interference Assisted Spin Filtering in Graphene Nanoflakes

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