熱電特性と導電性原子間力顕微鏡観察を組み合わせた新可視化手法を開発――次世代情報記憶素子の開発を加速 北海道大学ら

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

北海道大学は2019年11月8日、釜山大学校と共同で、電流と磁性で情報記憶する素子用の材料における電気化学酸化反応の可視化に成功したと発表した。

研究グループは2013年、比較的低温(200℃)でもSrCoOX薄膜の酸素量xを制御できることを発見した。その後、コバルト酸ストロンチウムの酸化/還元反応を利用した電流と磁性で情報記憶する素子を提案/試作することに成功したが、情報切り替えの高速化という課題が残されていた。

電気化学反応において、時間に関する問題を解決するためには化学反応式のような原子のスケールではなく、巨視的なスケールで材料の酸化/還元反応を可視化する必要がある。コバルト酸ストロンチウムの場合、材料科学分野で一般に用いられる透過型電子顕微鏡観察を適用できない。そこで、今回の研究では、熱電特性(電気抵抗率/熱電能)の計測と導電性原子間力顕微鏡(導電性AFM)観察を組み合わせた新しい可視化手法を開発した。

まず、1cm×1cmの面積のSrCoO2.5薄膜を電気化学的に酸化し、酸化度合が異なる6種類の薄膜試料を作製。これらの薄膜試料の熱電特性を計測/解析したところ、SrCoO2.5薄膜の電気化学酸化反応は柱状に起こることが分かったという。

次に、導電性原子間力顕微鏡観察を走査範囲2μm×2μmで行ったところ、形状像には大きな変化は無く、電流像には直径100nmほどの大きさの電気が流れる領域が酸化度合の増加につれて増えていく様子を観察できた。これにより、コバルト酸ストロンチウム薄膜の電気化学酸化反応を巨視的なスケールで可視化することに成功した。

同研究で成功した熱電特性の計測と導電性原子間力顕微鏡観察を組み合わせた可視化の新手法は、コバルト酸ストロンチウム薄膜を用いた次世代情報記憶素子の開発を加速させ、さらに透過型電子顕微鏡観察を適用できない材料の電気化学酸化/還元反応の可視化に大きく貢献すると期待される。なお、次世代情報記憶素子の提案/試作については、アメリカ特許として権利化済みだ。

関連リンク

プレスリリース

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る