機械学習を使い、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)形成メカニズムのシミュレーションに成功

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フィンランドのアールト大学とイギリスのケンブリッジ大学のコンピューターサイエンス分野の研究者らは、機械学習技術を使い、規則的な結晶構造を持たないアモルファスが形成されるプロセスを初めて原子レベルでモデル化することに成功した。これにより、アモルファスカーボン薄膜であるダイヤモンドライクカーボンの形成メカニズムをシミュレーションし、過去30年にわたり考えられていたものとは異なることを明らかにした。研究成果は『Physical Review Letters』に論文「Growth Mechanism and Origin of High sp3 Content in Tetrahedral Amorphous Carbon」として2018年4月18日に発表されている。

ダイヤモンドライクカーボン(DLC)は、ダイヤモンドと黒鉛の両方の炭素-炭素結合を併せ持ち、ダイヤモンドに似た高硬度、電気絶縁性、赤外線透過性などを備えたアモルファスカーボン薄膜の総称で、機械的なコーティング材料としての応用が盛んだ。

研究チームのMiguel Caro博士研究員は「これまでアモルファスの薄膜は、狭い領域に原子が詰め込まれるときに形成されると考えられていた。今回、機械学習により数万個の原子の動きをモデル化してスーパーコンピューターによるシミュレーションを実施し、原子がターゲットへ衝突した地点から伝播する衝撃波によって、衝突地点から遠く離れた場所でアモルファスカーボンが形成されることを明らかにした」と説明する。

今回のシミュレーションの特徴は機械学習を利用した点で、これにより従来とは比較にならないほど多くの数の原子の挙動を長時間にわたってモデル化することに成功した。このシミュレーションで示された手法はこれまでの定量的なモデルにとって代わり、原子レベルでのアモルファス形成メカニズムを示す具体的な実験手法の手がかりとなる。材料科学研究者とのコラボレーションによって、新たな材料開発も期待できるものだ。

DLCは、自動車用のエンジンやモーターなど物理的コーティング以外にも、医療目的やバイオエネルギーなどにも利用できる可能性がある。研究チームは、異なる生体分子を識別するためにDLC薄膜を使用したバイオセンサーへの応用を研究しており、薄膜の電気化学的特性を明らかにして用途に合わせた材料のカスタマイズを目指している。

関連リンク

Diamond-like carbon is formed differently to what was believed – machine learning enables development of new model
Growth Mechanism and Origin of High sp3 Content in Tetrahedral Amorphous Carbon

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