京都大学は2022年7月1日、外部磁場なしで超伝導ダイオード効果の制御に成功したと発表した。
今回の研究は、同大学およびスイス連邦工科大学、極東連邦大学との共同研究だ。半導体ダイオードは有限の電気抵抗を有しており、低温での電気抵抗が大きいために、動作時のエネルギー損失や発熱が問題となっていた。電気抵抗がない超伝導体を用いた特定方向の抵抗がゼロになるような超伝導体ダイオードが報告されているが、その動作には外部磁場が必要なため、それが実用化を妨げていた。
今回の研究では、ニオブ(Nb)層、バナジウム(V)層、コバルト(Co)層、バナジウム(V)層、タンタル(Ta)層から構成される極性構造を持つ超伝導/強磁性多層膜を成膜。この多層膜において、強磁性体であるCoの磁気状態を制御することで、外部磁場がなくても超伝導-常伝導のスイッチングができることを実証した。さらに、磁化方向によって超伝導ダイオード効果の方向を制御することにも成功した。
今回の研究成果は、超低消費電力の新しい不揮発性メモリーや論理回路の実現に貢献することが期待されるという。