MITが大容量/急速充電対応のEV用有機バッテリー技術を開発――ランボルギーニが支援

Credits: Courtesy of the researchers. Edited by MIT News.

伊Lamborghiniが資金提供する、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究室が2024年1月18日、有機材料をベースにした正極部品を特徴とする、EV用電池材料を開発したと発表した。既存製品に対して、よりサステナブルな電力を供給できると説明している。

開発したバッテリーの特徴は、正極部分に使用される材料にある。一般的なリチウムイオン電池に使用されるコバルトやニッケルの代わりに、TAQ(bis-tetraaminobenzoquinone : ビステトラアミノベンゾキノン)と呼ばれる有機材料を採用した。

試験結果によると、TAQによる正極を持つ電池は、コバルトの正極をもつ電池と同程度の速度で電気を伝導し、同等の蓄電容量を持ち、より高速に充電できた。

現在のEVのほとんどはリチウムイオン電池を搭載し、それらの電池の正極部分には、コバルトが使用されている。コバルトは、希少金属で価格変動が大きく、鉱床の多くは政情が不安定な地域にある。さらに、採掘には危険を伴うほか、鉱山周辺の環境を汚染している。

これまでに開発された、コバルトを代替する材料は、リン酸鉄リチウム(LFP)や有機材料などがある。しかしいずれも、エネルギー密度や蓄電容量の不足などの問題があった。

TAQの構造は、有機低分子が何層にも重なった、グラファイトに似たもので、水素結合による素材の安定性と不溶性の性質がある。この不溶性により、電池の電解液に材料が溶けることによる電極の劣化を最小限に抑えつつ、2000回以上の充電サイクルを確保した。

TAQで正極部品を製造する際の材料は、大量生産されている汎用の化学物質だ。材料費は、コバルト電池の3分の1から2分の1程度と見積もられている。なお、Lamborghiniは、この技術特許のライセンスを取得している。

関連情報

Cobalt-free batteries could power cars of the future | MIT News | Massachusetts Institute of Technology

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