従業員の「働いているフリ」がもたらす影響やその原因とは――Workhumanの独自調査

テレワークが広まった今、実際は作業をしていないのにしているように見せかけたり、忙しくないのに忙しい振りをしたりと、従業員の「働いているフリ(生産性の偽装)」は多くの企業で懸念材料となっている。人的資本管理のソフトウェアソリューションなどを手掛けるWorkhumanは、こうした生産性偽装に焦点を当て、アメリカ、イギリス、アイルランドのフルタイム従業員3000人を対象に、生産性の認識や上司との関係などについて独自調査を行った。

調査の結果、生産性の偽装をしたことがあると回答したのは全体で33%、管理職で37%、幹部では38%と、意外なことに組織の上流に行くほど、ごまかし行為をする傾向があることがわかった。これについてWorkhumanは、職場におけるパフォーマンスへのプレッシャーがトップダウンでかかっている可能性があると推測する。また、生産性偽装の経験を否定した管理職のうち、こうした行為がチーム内でよくある問題だとしたのはわずか37%だったのに対し、経験を認めた管理職では69%に上り、パフォーマンスや生産性へのプレッシャーや不安が組織内で悪循環となっていることがうかがえた。

生産性を偽装する理由として、1位ワークライフバランス、2位燃え尽き症候群と、心身ともに満たされているかというウェルビーイングに関わる問題が挙げられた。生産性の偽装が行われるのは、裏を返せば社員が仕事から離れる必要があってもそれを言い出せない企業文化の表れとも言えるだろう。69%の回答者は生産性を偽装しても日々の仕事には影響がないと考えており、Workhumanも実際の生産性低下の根本にはウェルビーイングの低さがあるのではと指摘する。

ウェルビーイングの低さの一因となっている可能性があるのが、「常時オンライン」がもたらす代償だ。新型コロナウイルスのパンデミックによりリモートワークが一気に普及し、パソコンさえあれば、いつでもどこでも仕事ができるという職種も多くなった。今回の調査では回答者の50%が、すべてのSlack、メッセージ、メールに即座に返信することが求められていると回答し、52%が勤務時間外の会議への対応が求められると回答した。

さらに調査は上司との関わりがもたらす影響にも及んだ。上司の関与は従業員のマインドや仕事の達成度にプラスに働くようで、自分自身を高業績者だと評価した回答者は「非常に関与している」上司を持つ場合が49%だった一方で、「少し」または「まったく」関与していない場合は、わずか22%だった。

関連情報

Survey: Is the Faux-Productivity Problem Real or Imagined? | Workhuman

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