東京農工大学は2017年11月6日、カタルーニャ工科大学と共同で、ロボットが特定の動作を行いながら、同時に感情を伝えることができる運動制御方法を開発したと発表した。
従来ロボットは、関節を用いた独自の動きで感情を伝えており、それでは一定の動作や仕事をしながら感情を伝えるのが困難だった。
今回の開発は、ヒト型ロボット「Pepper」を使って行われた。Pepperに、「手を振る」や「物を運ぶ」などの特定の動作を高優先度で指定し、人に感情を伝える仕事は低優先度で実施するよう設定。アメリカの心理学者アルバート・メラビアン氏によって定義された「Pleasure(快)-Arousal(覚醒)-Dominance(優越)モデル」から感情を変数化して、それを「揺れ」、「活発さ」、「視線」の3種類の動きの特徴で表現するように設定した。
今回これらのロボットの動作が人間に感情を伝えているかどうかの調査を実施。「怖がっている」、「悲しそうな」、「嬉しそうな」、「平穏」のそれぞれの感情を伝えているロボットを対象に調査したところ、「悲しそうな」「嬉しそうな」はよく伝わり、次に「平穏」な状態が伝わることが分かった。逆に「怖がっている」はうまく伝わらない結果となった。
今回開発した技術は、今後近い将来想定されるロボットと人間が共同で労働する場において、作業全体を円滑にしたり効率化するためのロボットの動作システムや、介護現場でのケアロボットとサービス享受者との円滑な関係づくりなどへの応用が期待されるという。