研究にもダイバーシティを――多様性が革新的なアイデアにつながるとの指摘

自分にとっては“当たり前”のことでも、周りの人は疑問に思うこともある。新入社員や他部署からのふとした質問が、新しい発見のきっかけになったという経験をした人もいるのではないだろうか。

ダイバーシティ(多様性)を重視する企業が増えてきているが、単に多様な人材を登用・活用できるようになるだけでなく、物事を多角的な視点からとらえることで解決策を見つけることにもつながると指摘する研究内容が発表された。

デンマークのオーフス大学と米スタンフォード大学の研究者が『Nature Human Behavior』に発表した論文によれば、研究を進めるに当たっては、「研究チームの多様性」「研究方法の多様性」「質問の多様性」の3つが重要だという。

「研究チームの多様性」とは、チームの参加者に多様性を持たせること。「研究方法の多様性」「質問の多様性」の2つは、性別やジェンダーの多様性がどのように科学的な洞察に至る方法に影響するのか、尋ねる質問に影響するのか、分析することだとしている。

これら3つの多様性は、相互に関連していると研究チームは考えている。チームに新しく入った人物は、仕事の内容や目的について根本的な質問をすることがよくある。チーム内の異なった見方やアイデアは、時には摩擦を起こすこともあるが、一方で革新的なアイデアを生み出す可能性もある。

「エンジニアリングのように女性が少ない分野では、方法や質問の多様性にもっと注意を払えば、女性にとっても魅力的な分野になるかもしれない」と研究者は語る。

彼らの以前の研究によれば、女性が医学の研究に参加した場合、より性別やジェンダーを考慮に入れて研究する傾向にあるという。例えば、薬の副作用の検証において、女性が研究チームにいると性別ごとに分けた考察も行う確率が高くなるといった具合だ。

「多様性がどんな利益を生み出すかと議論している場合ではない。多様性によって得られる潜在的な利益を得るために、どうやってしっかり支えるかが重要だ」と研究者は語る。チームのメンバー、特に経験のまだ浅いメンバーには、プロジェクトの初期から、プロジェクトの優先順位・問題・方法に、性別やジェンダーを考慮することが効果的だとしている。

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