- 2022-8-31
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- IoTデバイス, Lise-Marie Lacroix, The European Physical Journal Special Topics, グルノーブル・アルプ大学, トゥールーズ大学, 学術, 希土類金属ネオジム, 無線センサーネットワーク, 環境発電, 環境発電機システム, 電力, 電池
日々の生活に欠かせないIoTデバイスは、無線センサーネットワークに依存することが多く、微小ながら一定の持続的な電力供給が必要となる。電池は、度々交換や充電が必要になるため、実用上満足のいくものではない。そこで、持続的な電力供給として、環境から直接電力を生み出す環境発電が注目されている。
環境発電の電力源には、排熱や体温、振動、電波などがあり、今回研究チームが注目したのは環境の振動という力学エネルギーを電気エネルギーに変換する方法だ。この振動を使用する方法が環境発電では最も有望視されているという。
仏トゥールーズ大学が、グルノーブル・アルプ大学の研究チームと共に、数学的手法である有限要素シミュレーションを用いて、最も効率的に発電できるよう最適化した環境発電機システムを設計した。同研究成果は2022年5月4日、「The European Physical Journal Special Topics」に掲載された。
振動を利用する環境発電の微小な電気機械システムは、静電コイル面に平行に並んだマイクロ磁石を保持した振動板から構成される。電気エネルギーは磁石の振動によって発生し、回路に流入する電気量はコイルと磁石の材料とそれらの間隔に依存する。
研究チームは、希土類金属ネオジムと鉄、ホウ素の合金材料で構成される磁石を使用した発電システムについて研究した。彼らは、磁石の間隔とコイルの巻数のトレードオフによって、出力を最適化できることを発見した。また、コイルと磁石の距離を縮め、磁石の厚みを増すと、出力が上がることも分かった。
「現在、当研究で作成した設計指針を用いて、環境発電機を製造しています」と、トゥールーズ大学のLacroix教授は説明した。環境発電機は、航空宇宙、自動車、生物医学の分野をはじめ、IoTに依存する分野で役立つことが示されそうだ。