- 2019-2-28
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- MIT, Science, UCサンディエゴ校, ジョージア工科大学, ペロブスカイトデバイス, ペロブスカイト太陽電池
ジョージア工科大学をはじめ、UCサンディエゴ校、MITの共同研究チームは、ペロブスカイト太陽電池に添加したアルカリ金属がどのように振舞うか、蛍光X線イメージングを利用した解析結果を発表した。より効率的な組み合わせを見つけることで、長寿命化や性能向上につなげることができる。研究成果は、2019年2月8日付の『Science』に掲載されている。
軽量で柔軟なプラスチック基板から作ることができるペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコンベースの太陽電池に置き換わるデバイスとして注目されている。主な組成は、有機物のメチルアンモニウム、無機物の鉛、ハロゲン化物の臭化物またはヨウ化物である。ペロブスカイト材料にセシウムやルビジウムを添加すると安定性と電力変換効率が改善することが知られているが、その理由はあまり分かっていない。
研究チームは、それぞれの要素がデバイス性能にどのような役割を果たしているか調べるため、蛍光X線イメージングを利用して詳細に調べた。
その結果、セシウムやルビジウムを添加することで臭化物やヨウ化物の分布が均一になり、変換効率が2%上がることを確認した。一方、添加物自体は凝縮し、電流の流れない不活性な「デッドゾーン」が生まれていた。ただし、このデッドゾーンは多少の電流損失はあるものの、太陽電池の性能には影響していなかったという。
研究チームは、ペロブスカイトデバイスがナノスケールでどのように働くか理解を深めることが、安価で性能のよい太陽電池の開発につながると説明している。