- 2020-7-3
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- 3Dプリント, ACS Applied Materials & Interfaces, アクチュエーター, インク, ライス大学, 反応型4Dプリンティング
米ライス大学は、2020年6月9日、3Dプリント後に造形物の形を変えられるプリント方法を開発したと発表した。この方法で3Dプリントした造形物は、温度変化や、電流、圧力に反応して変形するという。研究者らは、この方法を「反応型4Dプリンティング」としており、研究成果は『ACS Applied Materials & Interfaces』に2020年6月2日付で発表されている。
同大学の研究チームは、2018年の先行研究で、ある形状から別の形状に変形する材料を発表しており、鋳型を使って、温度変化により変形する造形物を作製している。しかし、同じ材料で3Dプリントしても、平面から凸凹のある形状や複雑な湾曲した形状などへ変形させることはできなかったという。
そこで、研究者らは、変形プロセスを3Dプリントから切り離すことを思い付いた。研究では、変形プログラミングを3Dプリントのプロセスから切り離すことで、初期形状と最終形状をより柔軟に制御でき、複雑な構造をプリントすることも可能になるとしている。
研究チームは、分子間で相互排他的な化学結合を組み込んだ液晶ポリマーの「インク」を作り出すことに専念。ある化学結合がプリントされた原形を定め、プリントして乾いた後に材料を物理的に操作してもう1つの化学結合を設定できるという仕組みだ。UV光を照射して硬化させると化学結合がロックされ、造形物は、例えば、温度変化によってプログラムされた2つの形状の間を自在に変形できる。
ただし、円柱のようにサポートを必要としない構造物をこの方法でプリントするには限界があるという。プリント中にジェル状の物質自体がサポートの役割を果たす必要があり、現在も研究を進めているようだ。研究チームは、今後、さらにこの方法を最適化し、足場を使うプリント技術と組み合わせて、異なる2つの複雑な形状間を遷移するアクチュエータの作製を目指すとしている。