微粉精鉱による、CO2を排出しない水素ベースの画期的な直接還元技術を開発――粒径0.15mm未満のあらゆる精鉱に適用可能 英プライメタルズテクノロジーズ

英プライメタルズテクノロジーズは2019年6月26日、鉄鉱石を選鉱した後の精鉱を原料とする、焼結やペレット化などの前処理を全く必要としない直接還元法を世界で初めて開発したと発表した。

温室効果ガス排出を削減する必要性の高まりと、世界中で電気炉の稼働数が継続的に増加していることから、今後もDRI(直接還元鉄)やHBI(ホットブリケットアイアン)の利用拡大が予想されている。しかしDRIやHBIの製造には、既存のいずれの技術においてもペレット化などの塊成化プロセスが必要となる。鉄鉱石の品質が低下しているため選鉱プロセスが避けられないことも、鉄鋼メーカーが直面する課題の1つとなっている。

CO2を排出しない鉄鋼生産を推進するには、主に水素を使用するプロセスが最も望ましいとされており、今回同社が開発したソリューションは、これら全ての問題に対応する。この新技術は粒径0.15mm未満の微粉精鉱を含めたあらゆる種類の精鉱に適用できる。一次還元剤に再生可能エネルギー由来の水素や従来の水蒸気改質装置からの水素濃厚ガス、水素濃度の高い排ガスを使用することにより、CO2排出量をゼロ近くまで削減できるとしている。

この直接還元プラントはモジュール設計になっており、モジュールあたりの定格年産能力は25万トンで、あらゆる規模の製鉄所に設置可能。同社はオーストリアのフェストアルピーネに試験用パイロットプラントを建設し、2020年の第2四半期に試運転を開始する予定だ。建設予定のパイロットプラントは、予熱/酸化ユニット、ガス処理プラント、還元ユニット本体の3つの部分で構成され、将来的な実機規模プラント建設に向けた基礎データを提供する試験設備として位置づけられる。

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