- 2020-8-4
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- AR(拡張現実), SID Display Week 2020 Symposium, スマートグラス, リコー, 両眼視, 軽量プラスチック導光板
リコーは2020年8月3日、独自の光学技術を用いた薄型/軽量の両眼視タイプのスマートグラスを開発したと発表した。
現実の視界にデジタル情報を重ねて表示できるスマートグラスは、医療や建築、工場などでの作業指示や、歩行案内などの日常生活支援などさまざまな分野での活用が期待されている。しかし従来両眼視タイプのスマートグラスは、重量が一般的なメガネの3倍以上にもなり、長時間での使用用途には向かなかった。
今回開発したスマートグラスは重量が49gで、同社によると両眼視タイプでは世界最軽量となる。レンズ部分に独自開発の薄型/軽量プラスチック導光板を採用したことで軽量化を実現。さらに、軽量化と同時に1m先に約30インチ画面が見える広い視野角を確保することにも成功した。また、プラスチック微細構造を射出成形で作ることで、安価に量産できることも特徴である。
従来のスマートグラスはディスプレイユニットとレンズが一体構造であったために、鼻に大きな重量がかかることも課題だった。しかし今回、中継レンズを用いた特殊な光学系を開発し、ディスプレイユニットをこめかみに配置した。中継レンズに通すことで、こめかみにあるディスプレイ映像がそのまま導光板付近に再現される。この配置により、スマートグラスの前後の重量バランスが均一となり、鼻にかかる荷重を一般的なメガネと同程度に抑えた。
本スマートグラスは、スマートフォンやPCと接続することで眼の前に映像を表示する。既存のアプリをそのまま映すだけでなく、新規にアプリを開発する際でも、接続するデバイスのプラットフォームがそのまま活用可能だ。また、9軸センサー(加速度、角速度、地磁気)を標準搭載している。たとえば、歩いている方角を検知して適切な道案内をするといったことができる。オプションでカメラや深度センサーを付けることでAR(拡張現実)にも対応できる。
今回開発したスマートグラスは、2020年8月3日~同7日までオンライン開催されるディスプレイに関する国際学会「SID Display Week 2020 Symposium」で発表する予定だ(発表日:8月5日)。今後、事業化に向けてパートナーを募集するとともに、実用化に向けてさらなる開発を進める。