水素燃料を生成する光合成ハイブリッド触媒の構造を解明

Image by Christopher Gisriel and Lisa Utschig.

米アルゴンヌ国立研究所は2024年12月11日、同研究所とイェール大学の研究チームが、水素燃料を生成する光合成ハイブリッド触媒の複雑な構造を解明したと発表した。

植物が太陽光を化学エネルギーに変換できる光合成は、光化学系として知られる複雑なタンパク質複合体に依存している。光化学系I(PSI)は、植物や藻類、光合成細菌に見られる大きなタンパク質複合体であり、太陽光を取り込んでエネルギーに変換する際に重要な役割を果たす。太陽光を非常に効率よくエネルギーに変換でき、光子1個からほぼ100%の効率で電子1個を生み出す。

PSIに水素生成反応を促進する白金ナノ粒子を組み合わせたハイブリッド触媒は、PSIで生み出した電子を白金ナノ粒子に移動させ、水素を発生させる。つまり、PSIによって吸収された光が、白金ナノ粒子による水素生成を促進する。PSIハイブリッド触媒の特性を調べた研究はいくつかあったが、白金ナノ粒子がタンパク質のどこに結合しているのかは分かっていなかった。

研究チームは、高分解能のクライオ電子顕微鏡を使用して光合成ハイブリッド触媒の詳細な構造を観測し、白金ナノ粒子の正確な結合位置を突き止めることに成功した。光合成ハイブリッド触媒の構造情報は、水素生成効率をさらに高める触媒設計に役立つという。

同研究成果は2024年11月4日、『Nature Communications』誌に掲載された。

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