東大など、新しい解析法により約25億年前の遺伝子制御システム複雑化の仕組みを解明

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古細菌、真核生物におけるTBP の進化的変遷

理化学研究所、高エネルギー加速器研究機構(KEK)および東京大学による研究グループは2017年12月27日、約25億年前に古細菌から真核細胞が誕生した際の、転写開始システムの複雑化が起こった仕組みを明らかにしたと発表した、2016年に開発した、分子進化の新しい解析法を用いたという。

DNAや蛋白質の配列解析により進化の変遷を予測する学問分野を分子進化学と呼ぶが、古代生物については、そのDNAが残らないため、太古の分子進化を探ることはできなかった。KEKと東京大学は2016年、DNAや蛋白質に含まれる繰り返し配列に着目し、進化の過程で生じた現存遺伝子と祖先遺伝子の違いを算出できる新しい解析法を考案。約35億年前に遺伝情報を取り出す転写開始システムに起こった進化の仕組みの一端を解明した。

1つの遺伝子内のある領域に重複(塩基配列が重複して繰り返し配列が生じること)が起こった場合、その直後は重複した部分の配列は同じだが、時間経過とともに繰り返し配列に変異が蓄積する。新しい解析法では、この重複及び変異の蓄積で生じた繰り返し配列の差をdDR値として数値化し、解析を行う。

今回の研究では、この新しい解析法により、約25億年前に起こった古細菌から真核細胞に至る転写開始反応の複雑化が起こった仕組みの解明を目指した。転写開始を指令するTBP(転写開始位置の上流にある塩基配列に結合するタンパク質)が分子内に繰り返し配列(リピート)を持つことを利用し、dDR値と、配列の種間における差を評価するPD値という2種類の異なる進化指標を用いて、古細菌及び真核生物のTBPの分子進化を解析した。

解析の結果、TBPではdDR値とPD値に正の相関関係がないことが判明した。これは、真核生物TBPの2つのリピート内でランダムに変異が起こり、その蓄積が進む一方、その変異が安定に維持されていることを示すものだ。TBPの繰り返し配列に起こった変異が真核生物では高度に保存されたため、真核生物TBPには多くの転写関連因子が相互作用して、複雑化の一途をたどったことが明らかとなった。

同研究グループは、今回の解析により、約25億年前に古細菌から真核細胞が誕生する際、転写開始反応システムが開始因子数個から数十個に至る複雑性を獲得し、その後の真核生物の多細胞化に向かうきっかけになったのではないかと考えられる仕組みが明らかになったとする。今後、dDR値とPD値を組み合わせて、単純なシステムから複雑なシステムへの複雑化の過程を明らかにしていくことを目指す。また、人工知能などの「進化」形態を生み出すことにも有益な情報をもたらすことが期待されるとしている。

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