NTNは2016年6月24日、運転中の軸受に発生したはく離を検出可能な早期異常検知機能を備えた「円すいころ軸受」を発表した。同製品を使用すれば、破損検知センサではく離片を検出できるだけでなく、フィルタシールではく離片の飛散を抑えて周辺部品の二次被害を防止できる。
はく離した状態で軸受を使用し続けると、軸やハウジングなど周辺部品の破損、軸受はく離片の飛散、噛み込みによるギヤ部品の破損といった二次被害を引き起こす危険がある。軸受にはく離が生じた場合は速やかに運転を停止する必要があるが、軸受がはく離しても機械全体の振動や音に紛れてしまうため、従来ははく離の検出が困難だった。
一方、機械のライフサイクルコストを低減するには、軸受の交換周期をできるだけ長くする必要がある。だが、交換周期が長いほど二次被害を含めた軸受破損リスクが高くなるため、実際の軸受交換期間はリスク回避のために設計上の軸受寿命よりも大幅に短く設定されている。
以上の理由により、軸受はく離を早期に検知する技術と、はく離による二次被害発生の可能性をできるだけ低減する技術が求められていた。
NTNは今回、円すいころ軸受の静止輪である外輪にフィルタシールを設け、内輪とフィルタシールのすきまを最適化することにより、はく離片が軸受外へ流出するのを防止する商品を開発。同時に、フィルタシールに取り付けた破損検知センサの感度を最適化し、微細な鉄粉や金属浮遊物を検知せずにはく離片のみを早期検知できる技術を確立した。フィルタシールには特殊構造を採用し、既存の円すいころ軸受への後付けも可能にしている。
同社は、今回発表の技術を一般産業機械用円すいころ軸受向けに広く提案し、機械のライフサイクルコスト低減に貢献していくとしている。