- 2024-12-26
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米ノースウェスタン大学は2024年11月21日、同大学の研究チームが、ペロブスカイト太陽電池の寿命を大幅に延ばす新しい保護膜を開発したと発表した。この新保護膜には、従来のアンモニウムベースの膜に代わり、アミジニウムベースのものが採用された。この技術により、ペロブスカイト太陽電池の実用性が飛躍的に向上する可能性がある。
ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン太陽電池よりも効率が高く、コストも低い。しかし、長期間の使用において安定性に欠けるという課題があった。例えば、膜には効率を高めるためにアンモニウムベースのものを用いていたが、アンモニウム層は熱や湿気などの環境耐性が低く劣化しやすかった。
この課題を克服するため、研究チームは、アミジニウムリガンドを用いた。アミジニウムリガンドは、ペロブスカイトと相互作用し、長期間にわたる欠陥不動態化と保護効果をもたらす安定した分子だ。アンモニウムベースの分子は、窒素原子が3つの水素原子と1つの炭素含有基と結合している。一方、アミジニウムベースの分子は、中心の炭素原子が2つのアミノ基と結合している。アミジニウム分子は、その構造により電子が均等に広がるため、過酷な条件下でも耐久性が高い。研究チームは、アンモニウム基をより安定したアミジニウム基に置き換える、「アミジネーション」というプロセスを通じてこの変換を行った。この技術により、ペロブスカイト太陽電池は、極端な高温下でも時間経過による分解が起きづらくなる。
このコーティングが施された太陽電池は、26.3%という高い変換効率を達成した。また、従来のアンモニウムベースのコーティングに比べて分解に対する耐性が10倍向上した。過酷な条件下で1100時間のテストを行った後でも初期効率の90%を維持し、T90寿命(効率が初期値の90%に低下するまでの時間)が従来の3倍に延びた。
同大学の持続可能エネルギー研究所であるPaula M. Trienens Institute for Sustainability and Energyのサージェント氏は、「ペロブスカイトベースの太陽電池は、性能と耐久性が両立するデバイス設計を確立させて大規模化できれば、電力供給の脱炭素化に貢献する可能性がある」と述べた。
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