- 2022-9-26
- 化学・素材系, 製品ニュース
- JFEスチール, アルカリ活性材料コンクリート, コンクリート, プレキャストコンクリート製品, ポルトランドセメン, 低炭素型コンクリート, 共和コンクリート工業, 日本大学, 東北大学, 西松建設
JFEスチールは2022年9月21日、東北大学、日本大学、西松建設、共和コンクリート工業と共同で、CO2削減に貢献するアルカリ活性材料コンクリートを素材に、意匠性を有する複雑な形状のプレキャストコンクリート製品の試験製造に成功したと発表した。新素材は、通常のコンクリートと比べ、製造時のCO2排出量を約75%削減できる。
研究チームは、高炉スラグ微粉末や高炉スラグ細骨材の活用、特殊な混和剤の適用などによって、流動性を安定的に確保しながら、耐凍害性を大幅に向上させた独自のアルカリ活性材料コンクリートを開発。実用化を目指していた。
今回、一般的な意匠性を有する型枠に、開発したアルカリ活性材料コンクリートを流し込み、実際の工程製造と同様の蒸気養生を施したところ、試験製造に成功。完成したプレキャストコンクリート製品は、細部まで十分に充填され、ひび割れや欠損は確認されなかった。また、短時間での脱型を確認している。通常のコンクリート製品と比べ、開発品のアルカリ活性材料コンクリート製品の風合いは大きく変わっていない。
アルカリ活性材料コンクリートは、製造過程で相当量のCO2が発生する一般的なセメント(ポルトランドセメント)を使用しない低炭素型コンクリートで、製造時に排出するCO2を大幅に削減できる。しかし、混合時の粘性が高く固まりやすいなど、施工時の流動性の確保が難しく、意匠性に優れた複雑な形状のプレキャストコンクリート製品への展開が課題となっていた。
試験製造の成功で、さまざまな形状のプレキャストコンクリート製品への展開が進むことにより、CO2排出量をコンクリート分野で大幅に削減できる。今後、試作したプレキャストコンクリート製品は、比較的過酷な寒冷環境で試験を実施。実用化に向け、耐久性の検証を進めていく。