数秒で充電可能なナトリウムイオン蓄電技術を開発

CREDIT: KAIST NANO MATERIALS SIMULATION AND FABRICATION LAB.

韓国科学技術院(KAIST)の研究チームが、数秒で充電可能な高出力のナトリウムイオン蓄電技術を開発した。同研究成果は2024年3月27日、「Energy Storage Materials」誌に掲載された。

ナトリウムはリチウムの1000倍近く豊富に存在するため、ナトリウムイオン蓄電技術は最近大きな注目を集めている。ナトリウムイオン蓄電技術は、ナトリウムイオン電池(SIB)とナトリウムイオンキャパシタ(SIC)の2種類に分類される。SIBは高い蓄電容量を提供する一方、SICは充放電速度が速いという特徴を持つ。

研究チームは、SIBに使用する負極材料とSICに適した正極材料を統合した、ナトリウムイオン複合型エネルギー貯蔵法(SIHES)に着目した。SIHESは、高い蓄電容量と速い充放電速度を両立でき、リチウムイオン電池に代わる次世代エネルギー貯蔵システムとして期待できる。

しかし、SIHESの開発には、SIBの遅い充放電速度とSICの低い蓄電容量の改善が必要であった。そこで、研究チームは、2種類の金属有機構造体(MOF)を合成し、MOFを使用した負極と正極を組み合わせることで、高容量で高速充電可能なSIHESの開発に成功した。

開発したSIHESは、市販のリチウムイオン電池を上回る247Wh/kgというエネルギー密度、スーパーキャパシタと同等の3万4748W/kgの電力密度、また5000回の充放電サイクルで約100%の充放電効率を示す安定性を達成した。SHIESは、電気自動車やスマート電子機器、航空宇宙技術などへの幅広い応用が期待できる。

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