Nature、2020年の「室温超伝導の発見」は捏造だったとの公式見解を発表

科学論文誌のNatureは、2024年4月6日、室温超伝導スキャンダルの渦中にある物理学者のRanga Dias氏についての調査結果を発表した。趣旨として同氏が、データの捏造、改ざん、盗用をしていたことを明らかにした。

今回の調査は、ロチェスター大学が採用した独立した科学者グループが10カ月にわたり実施した。同グループはDias氏に対する16件の不正行為の申し立てを調査し、それぞれのケースにおいて、科学的な不正行為があった可能性が高いと結論づけた。

この調査は、同誌に掲載された2件の論文において、Dias氏が室温超伝導を示すデータをどのように歪曲したか、また、それらのデータを学生たちに知られないかたちで、どのように操作したかという詳細を明らかにした。

Nature誌の論文でDias氏は、最初は炭素と硫黄と水素(CSH)、次にルテチウムと水素(LuH)による化合物で、室温で電気抵抗ゼロの室温超伝導を発見したと主張していた。

調査委員会はLuH論文について、Dias氏の元生徒の協力を得て、研究室のハードディスク内に問題のデータがあることを突き止めた。同氏は、抵抗データの不規則な低下やジャンプなどの変動を隠すように操作し、編集者や査読者を納得させようとしたと結論づけた。

同委員会は、ロチェスター大学の学生や関連研究者について、今回の事件のなかで被害者だと判断した。また、Dias氏の教育活動や研究活動を許可すべきではないと勧告した。委員会はこの調査で得られた証拠により、Dias氏を信頼できないと結論づけた。

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