STマイクロエレクトロニクスは、32bitマイクロコントローラ(マイコン)STM32の開発エコシステムを拡張する「STM32Cube Low-Layer Application Program Interface」(LL API:ロー・レイヤ・アプリケーション・プログラム・インタフェース)ソフトウエアを発表した。ARM Cortex -Mプロセッサ搭載のSTM32マイコンを使用する設計者は、よりハードウエアに近いレジスタ・レベルのコーディングが可能になり、パフォーマンスと実行時効率を最適化できるという。
このLL APIが追加されたSTM32向けソフトウエア・ライブラリSTM32Cubeを使用すれば、使いやすく移植可能なHAL(ハードウエア抽象化レイヤ)とLL APIにより、柔軟なペリフェラルの制御が可能になるとしている。
LL APIは、STM32 Nucleo開発ボード上で動作するよう設計されたサンプル・プロジェクトとともにSTM32Cubeパッケージに統合されており、その他のSTM32ボードへ簡単に移植できるという。また、同一プロジェクト内で対応するHALと並行して使用できるため(一部例外あり)、製品開発期間、ソフトウエアのメモリ使用量、および実行時効率の間のトレードオフを柔軟に最適化できるとしている。
さらに、LL APIにより、従来のSTM32 Standard Peripheral Libraries(SPL)からSTM32Cubeエコシステムへの移行を簡略化が可能だ。LL APIは、各STM32Cube組込みソフトウエア・パッケージに含まれるHALと同様、一部の例外を除いてMISRA-C 2004に準拠。また、GrammaTech CodeSonarにより、最適なコード品質と信頼性を有することが確認されている他、自動アップデート機能で常に最新の状態が維持されるという。
現在、無償でオープンソースのBSD LL APIは、STM32L4/L0/F0シリーズ向けのSTM32Cubeパッケージで利用できる。2017年第1四半期にはすべてのSTM32Cubeパッケージで利用可能になる予定だ。