NTN、風力発電装置主軸用「左右列非対称自動調心ころ軸受」を開発

NTNは2017年8月24日、風力発電装置主軸用「左右列非対称自動調心ころ軸受」を開発したと発表した。軸受内部のころを左右列で非対称設計とすることで軸受の計算寿命を従来品比で約2.5倍とし、耐摩耗特性も向上させたとしている。風力発電装置の主軸受をはじめ、ラジアル荷重と一方向のアキシアル荷重が作用するアプリケーションへの用途を想定している。

風力発電装置の主軸用軸受(以下、主軸受)には、高負荷容量で取付誤差に対する許容能力に優れた自動調心ころ軸受が多く使用されている。主軸受はローターやブレード(翼)などの重量が軸に対して垂直方向に作用するラジアル荷重に加えて、風荷重が軸に対して水平一方向に作用するアキシアル荷重を受けるため、ブレードに近いフロント列に比べて、ブレードから遠いリア列に、より大きな荷重が作用する。また、自動調心ころ軸受特有の転がりすべりと、潤滑不足による軌道面と、ころの金属接触により、PV値(接触面圧と、転がりすべり速度をかけあわせた数値)の高い箇所から軌道面の摩耗が進行し、特にリア列の外輪に、はく離や割れが発生することがある。

今回開発した左右列非対称自動調心ころ軸受は、こうした風力発電装置主軸受特有の使用条件に対応するため、ころの設計を見直すことで寿命と耐摩耗特性を向上させた。具体的には軸受の計算寿命を従来品比で約2.5倍に向上、PV値は約30%低減した。開発品の接触角は従来品と比べフロント列は小さく、リア列は大きくし、フロント列に比べてリア列のころを長くすることで、風によるアキシアル荷重をリア列で効率よく受け、ラジアル荷重をフロント列で積極的に受けられるようになっている。内輪に中つばを有し、ころの最大径位置を中心からずらした設計とすることで、ころのスキューを防止している。

同開発品は、主要寸法(内輪内径、外輪外径、幅寸法)を従来品と同寸法で設計が可能。従来品と同等の寿命を持つ主軸受を設計する場合には、従来品と比べて内径を約10%、質量を約30%軽減でき、風力発電装置のコンパクト化や軽量化に貢献するとしている。

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