- 2017-9-12
- エンジニア調査
- エンジニア調査, シニア, シニアの労働観・労働実態
~シニアが採用されない原因は高齢者雇用に対して「人事責任者が消極的」(31.4%)、「職場全体に消極的な雰囲気」(18.6%)~
ポイント
- シニアが働けていないのは「職場の高齢者雇用に消極的な雰囲気」「健康面の不安」が原因か
- シニアは週3日前後の勤務を希望し、1~3件の求人に応募
- 希望する仕事は「自宅から通いやすい」(58.1%)、「能力・経験が生かせる」(39.5%)
- 採用されなかったのは「職場全体」が高齢者雇用に消極的だったから
調査概要
エンジニアのためのキャリア応援マガジン「fabcross for エンジニア」は、65歳以上の男女2000人を対象に、「シニアの労働観・労働実態」に関する調査を実施しました。
同調査の中から、今回は「働きたい」と考えているが「働いていない」か「不定期に働いている」シニアに尋ねたアンケート結果を紹介します。
前回の調査では、定年を迎えてからも仕事を続けているシニアから回答を得たアンケート結果を取り上げました。一方で、高齢や健康面の不安などが原因なのか、「働きたい」と望んでいても定期的に働けていないシニアもいます。
前回レポートでお伝えしたとおり、働く意欲があって働けているシニアでは現在の生活への満足度は平均76.0点だったのに対して、働きたいが定期的に働けていないシニアの満足度は平均65.9点となりました。
働きたいが定期的に働けていないシニアは、なぜ定期的な仕事に就けていないのでしょうか。その理由をどのように考えているのか、調査してみました。
調査結果サマリー
シニアが働けていないのは「職場の高齢者雇用に消極的な雰囲気」「健康面の不安」が原因か
・今回、アンケートに回答したシニアが、働きたくても定期的に働けていないのはなぜだろうか。まずは以前の勤務先との関係について尋ねてみたところ、「正社員だったが定年を迎えた」(51.0%)ことから働けていないと答えた回答者が多かった。
・続いて、以前の勤務先から継続雇用や契約延長されなかった理由を複数回答可の形式で質問してみた。「当てはまる項目はない」(32.8%)、「その他」(16.4%)を選んだ回答者が多かったが、「職場全体に高齢者雇用に消極的な雰囲気があった」(15.6%)、「自分の健康面に不安があった」(13.1%)ことから継続雇用や契約延長されなかったと考えていることが分かった。
シニアは週3日前後の勤務を希望し、1~3件の求人に応募
・「働きたい」と望んでいても定期的に働けていないシニアは、週に何日くらい働きたいのだろうか。前回調査で紹介した「働きたい」と考えて週1日以上は働いているシニアと比較したグラフは次のとおりとなった。
「働きたい」と望んでいても定期的に働けていないシニアには、「週3~4日働きたい」(47.0%)、「週1~2日働きたい」(41.0%)と望んでいる人が多かった。
・「働きたい」と望んでいても定期的に働けていないシニアは、以前の勤務先で働かなくなってから、企業・団体が出している求人に何件くらい応募しているのだろうか。具体的な応募件数を記載してもらったところ、56.1%は「0」件だと回答した。1~3件ほどに応募したシニアが多く、30.1%を占めた。
・11件以上の求人に応募したシニアはわずか3.6%だったが、応募した件数は50件や100件に達すると回答したシニアもいた。
シニアが希望する仕事は「自宅から通いやすい」(58.1%)、「能力・経験が生かせる」(39.5%)
・どのような求人に応募したのか複数回答可で聞いたところ、「自宅から通いやすいエリア」(58.1%)に応募したとの回答が最も多かった。次いで「自分の能力・経験が生かせる」(39.5%)、「勤務日数について融通してくれる」(29.1%)といった条件で選んでいるシニアが多いことが分かった。
採用されなかったのは「職場全体」が高齢者雇用に消極的だったから
・求人に応募しても採用されなかった理由について、どのように分析しているのだろうか。「人事責任者が高齢者雇用に消極的だった」(31.4%)から採用されなかったと感じる回答者が最も多く、「職場全体に高齢者雇用に消極的な雰囲気があった」(18.6%)、「自分の専門的な能力・スキルが評価されなかった」(14.0%)といった要因がそれに続いた。
・このように定年を迎えてから求職活動をしてみたシニアに、どのような感想を抱いたかと聞いてみた。主な回答は次のとおりだった。
<年齢がネックとなって働けない>
・65歳を超えると働く場所はないです
・まず年齢がチェックされる。求人にはあからさまには書けないらしいが、これが実情
・高齢者の再就職は考えていたより、ハードルが高いと思った
・63歳を超えたらもう求人はないのだと思います。余程若々しく見えるようにしないと、話を聞いてもらえないです
・求人には年齢制限なしとしながらも、実態は高齢の理由だけで、面接さえも受けられなかった
・年齢で勤められる業種は限られていると思ったのが一番で、何十年かやってきた職種は頭から年齢でアウト。狭き門を実感した。定年がある以上、定年後継続雇用はあるものの一般中途雇用は高齢者にはない
・健康上も、能力的にも、また意欲においても人並み以上とおもうが、68歳という年齢では、この国では門戸が実質的に開かれていない
・年齢の壁を超えるのが大変だと痛感した。年齢だけで、選べる職種が限定されてしまうのが残念です
<専門性が必要/自身の専門性とのミスマッチ>
・資格をとっておくべきだった
・特殊な資格・スキル・体力等が無ければ、現実はいくら条件を下げても、高齢者には再就職は難しい
・持っている資格を有効に生かせる求人数が少ない。応募企業内に知人がいないと保障の面でマイナスとなる場合が多いと感じた。面接では「会社内に保証人となってもらえるような人がいますか?」とよく聞かれた
・技術は日進月歩であり、古い技術や経験は評価されないと思いました
・元々、仕事をする事が好きだった事があるが在宅の仕事はcomputerを使用する事しかないのかなあと言う事が正直な感想です。自分の資格や今迄の実力を生かせる仕事って少ないと思いました
<その他>
・公務員等、前職の職業で影響されているのではないでしょうか
・時間の融通の利く職場を探すのが難しいと思った。自分の希望する労働時間で働くのが困難な職場が多い
・どの会社も上に立つ人次第と、以前より強く思うようになった
・介護で求職活動を中断した
・不採用の理由を明確に応募者に回答することを義務付けたらどうか?
・まだまだ働けるのに、年齢制限で働けない場合が多い。高齢者社会になるのに、もっと積極的に働ける職場を提供してもらえれば意欲のある人は認知予防にもなると思いました
調査概要
調査方法:ネットリサーチ
期間:2017年7月18~20日
対象:「とても働きたい」「ある程度は働きたい」と考えているが「不定期に働いている」か「働いていない」と答えた65歳以上の男性131人、女性69人