豊橋技術科学大学、切り紙構造を用いた超伸縮性神経電極を開発

ストレッチャブル切り紙バイオプロープ ストレッチ時のデバイス写真(上) 生体組織上に配置されたデバイスのイメージ(下)

豊橋技術科学大学は2017年12月8日、切り紙構造を用いた超伸縮性神経電極を開発したと発表した。生体サンプルの変形に沿って伸縮し、低侵襲な生体信号の計測を可能にする。

高い伸縮性と変形性を持つデバイスは、心臓などの臓器や組織など各種の生体サンプルへの応用が期待されている。しかしゴムのような弾性材料を基にした従来のデバイスは、伸縮時に大きな力が必要となる。このため、柔らかい生体サンプルに対して追従できず、生体の自由な変形や成長を阻害する可能性もあった。

今回同大学の研究チームでは、切り紙構造を用いて超伸縮性を実現したバイオプロープ(神経電極)デバイスを開発した。切り紙構造の伸縮性は、材料の伸縮ではなく、薄いフィルムの3次元的な曲げによって生じる。このため、硬く、伸縮性を持たない材料に対しても他の弾性材料を用いるより高い伸縮性が実現できる。また伸縮に必要な力は弾性材料を用いたデバイスと比較しても遥かに小さくなるという。

予備実験として行った、パレリンに微細パターンを施して製作した切り紙フィルムでは、1100%という伸縮性を実現。次に製作した切り紙神経電極デバイスでは、高い伸縮性と変形性を活かして、マウスの大脳皮質と拍動する心臓からの神経信号記録を実現したという。

同研究グループでは、切り紙神経電極が、成長や病気などにより長期にわたり組織や臓器の表面積ないしは体積の増加・減少を伴う状況でも適用可能だと考えている。最終的には、新たな計測手法を実現し、成長やアルツハイマーに代表される脳の変形を伴う病気のメカニズム解明や治療に役立てたいとしている。

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