NEDOとダブル技研など、さまざまな形状の物を安定して優しくつかめるロボットハンドの「からくり」を開発

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とダブル技研、都立産業技術高専は2018年1月11日、さまざまな形状の物を単純な制御で安定して優しくつかめる、ロボットハンドの「からくり」の開発に成功したと発表した。人間の手や指の微妙な構造を工学的に模倣したからくりのような新構造によって、センサーやモーターなどの電子部品やプログラム制御の複雑さを最小限にでき、ロボットハンドの軽量化、耐久性向上、故障や事故の低減などが期待できるとしている。

人間は指や関節の位置や動作を意識せず、果物や工具などのように一つ一つの形や重さがバラバラな物を自然につかむことができる。これは脳神経的な知性に加えて、進化の結果として獲得された手や指の構造の仕掛けによる。一方、ロボットにとって果物や工具をつかむことは難しい課題であり、これまでロボットハンドでさまざまな形状の物をつかむには、指や関節の一つ一つにセンサーやモーターなどを組み込み、それら多数の電子部品を制御する複雑なプログラムが必要とされていた。そのため、制御の難しさ、軽量化、耐久性向上、誤作動による故障や事故の低減、省電力化などが、産業利用上の課題とされていた。

今回、NEDOとダブル技研らの研究チームは、人間の手や指の微妙な構造を分析することで、からくりのような新構造として工学的に模倣することに成功した。この新構造によって、ロボットハンドも指や関節一つ一つの位置や動作を細かく制御せずに、手や指を連動させて対象物に自然になじませることができ、これにより最小限の力で安定して優しく物をつかめるという。

研究チームは開発した新構造を応用して、人間型5本指の「F-hand」、産業用3本指の「New D-hand」、機械部品を使わずに紙だけで構成した「オリガミハンド」という3種類のロボットハンドを開発した。これらは農作業や物流、製造業、医療・食品などの衛生分野への導入のほか、将来は宇宙や深海といった極限環境での活用など、さまざまな用途展開が期待できるとしている。

ダブル技研は、今回開発した3種類のロボットハンドを、2018年1月17日から19日まで東京ビッグサイトで開催される「第2回ロボデックス」に出展する。

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