昨日掲載した「五月病のホント」を解説した記事で、21.0%もの会社員が「五月病になったことがある」ことをご紹介した。
藤美クリニック(東京都・港区)の加藤由美子医師によると、「五月病の原因はさまざま」。パーソナリティー障害、発達障害などのほか、前線の通過や梅雨時に体調不良を起こす“気象病”、就職・転勤・引っ越し・昇進など、環境の変化も引き金になるという。
fabcross for エンジニアは実際に、「五月病になったことがある」会社員1364人と、五月病になったことはないが「詳しく知っている」か「聞いたことはある」と答えた会社員4598人を比較調査。年齢や職業、社風、残業時間の長さなど、いくつかのポイントから、五月病になりやすい人の特徴が浮かび上がってこないか探ってみた。
五月病のなりやすさ、20代は40代の2倍以上!?
まずは、年齢によって五月病のかかりやすさに違いがあるか調べてみた。
昨日ご紹介した五月病に関する理解度を問う質問の前に、シンプルに「五月病になったことがあるか」と聞いた質問への回答を、年代別に集計したのが次のグラフだ。
多くの病気がそうであるように、より長い人生を歩んできた40代の方が「五月病になったことがある」割合が高くなるのが自然だと予想した。
しかし予想に反して、「五月病になったことがある」割合は、40代の12.5%に対して20代は26.5%。20代の方が40代の2倍以上も「五月病になったことがある」ことが分かった。
まじめで責任感が強いほど五月病に? 経験者の半数が叱責を深刻に受け止めてしまう
続いて、仕事観や職場の状況などを聞いた質問への回答結果を、「五月病になったことがある」人と、そうでない人とで比較してみた。
はっきりと違いが表れた質問の1つは、「上司・先輩に叱責されると深刻に受け止めてしまい、退職することまで視野に入れてしまう」かどうか。
五月病経験者の52.3%が該当※したが、五月病を経験していないグループでは24.0%にとどまった。
※「非常に当てはまる」と「ある程度は当てはまる」の合算値
長時間の残業や成果主義も五月病に影響?
それ以外に、残業時間の長さや成果主義の社風といった要因も、五月病に影響してくるのかもしれない。
「残業時間は長い方」かどうかを聞いたところ、五月病経験者で該当したのは43.4%。経験していないグループを12.9ポイント上回った。
「成果主義の職場だと思う」割合も五月病経験者の方が高く、45.3%を占めた。一方、未経験のグループでは28.5%にとどまった。
新入社員にとって、「五月病かも」は危険なサインに?
五月病に興味があり、この記事をここまで読んでくれた方に、もう少し伝えておきたい比較データがある。
それは「五月病“以外にも”、強いストレスを感じてメンタル面で不調に陥った」経験の有無だ。
五月病経験者の実に30.6%が「出社拒否や軽いうつなど、働けなくなるほど深刻な不調に陥ったことがある」と回答。「明らかな体調不良や集中力の欠如など、明確な症状が表れる不調に陥ったことがある」人まで含めれば、五月病経験者の66.8%がメンタル面での不調を自覚し、仕事に支障が出そうな症状が表れたことになる。
さらに、五月病経験者の42.2%が「メンタル不調が原因で、退職/転職したことがある」とも回答。未経験のグループでは該当率は半分以下の16.6%だった。
こうして見ると、五月病が先か後かは分からないが、少なくとも入社したばかりの新入社員が「五月病かな?」と感じたら、それは危険な兆候なのかもしれない。
前回、加藤医師がアドバイスしてくれたように、五月病になった場合は「1人で悩まず、家族や友人、上司などに相談し、早めにかかりつけ医や産業医、心療内科や精神科を受診することが重要」。深刻化する前に早めに対処した方が良さそうだ。
fabcross for エンジニアは、五月病やメンタル面の深刻な不調になったことがある人たちに、そうした状況からどうやって回復してきたのか、具体的な対策を聞いた。その内容については次回、ご紹介していこう。