東北大学は2018年7月13日、室温から超高温度域まで強くて靭性に富んだ新しい耐熱モリブデン合金(モシブチック合金)を発明したと発表した。
ジェットエンジンや発電用ガスタービンの高温/圧回転部には、ニッケル基超合金が使用されている。しかし、ニッケル基超合金の最高耐熱温度が1150℃なのに対し、近年のジェットエンジンの稼働温度は1700℃に達しつつある。そのため、稼働温度と耐熱温度のギャップを埋めるための冷却により、非効率なエネルギー損失が増大している。一方、高温で高強度な材料は一般に脆くて壊れやすく、実用化に向けてこういった脆性の克服も課題とされてきた。
研究グループは今回、高融点金属の1つであるモリブデンにチタン、ケイ素、炭素、ホウ素を混ぜ合わせた新しいモリブデン合金を発明。1400℃から1600℃の超高温度域でクリープ特性を測定した。
その結果、破断に対する耐熱温度はニッケル基超合金よりもおよそ200℃も高い1360℃と見積もられた。また、1200℃でのひずみに対する耐力は、ニッケル基超合金はもとより、新ニオブ合金よりも高いことが判明した。
また、この合金は1kgを超える鋳物の作製も可能だ。金型等への応用展開により、超高温技術の発展にも寄与できるという。
さらに、このモリブデン合金で作製した摩擦攪拌ツールを使うことで、ニッケル合金であるインコネル600の摩擦攪拌接合にも成功した。金属加工技術の高温化、高精度化への貢献が期待できるとしている。