- 2018-12-21
- 技術ニュース, 機械系, 海外ニュース
- EAST(Experimental Advanced Superconducting Tokamak), Hモード(High Confinement mode:閉じ込めの良好なモード), トカマク型核融合エネルギー実験炉, 中国核融合実験炉CFET, 中国科学院合肥物質科学研究院(CASHIPS), 国際熱核融合実験炉ITER
「中国の人工太陽」とも呼ばれるトカマク型核融合エネルギー実験炉EAST(Experimental Advanced Superconducting Tokamak)は、2018年4度目の実験によってコアプラズマ部で1億度を超える温度を達成した。これは約1500万度といわれる太陽内部の温度の7倍以上という高温だ。
EASTは中国によって設計および建設され、2006年に運用を開始した最初の完全超伝導トカマク装置だ。今回の成果は、中国がトカマク型核融合実験において、世界に先駆けて顕著な進歩を遂げつつあることを示している。
今回の実験は、中国科学院合肥物質科学研究院(CASHIPS)のEASTチームと、中国内外の合同チームによる共同研究。EAST内部に生成したプラズマの密度は、電子サイクロトロン共鳴、イオンサイクロトロン共鳴、中性粒子ビームイオンなど4種類の加熱装置を効果的にインテグレーションすることで最適化された。総加熱出力は10メガワットを超え、プラズマに蓄積されたエネルギーは300キロジュールに達している。
EASTでは、国際熱核融合実験炉ITERと同様の高周波加熱方式や水冷タングステンディバーターを使っている。そのEASTの運転シナリオによって、良好な粒子排気と排熱、定常状態のHモード(High Confinement mode:閉じ込めの良好なモード)を実現し、1億度を超える電子温度を達成したことは、ITERや中国核融合実験炉CFETに向け、大きく貢献したといえるだろう。