転がり軸受のはくり寿命を予測する技術を開発――機械のメンテナンス頻度削減や小型化に寄与 NSK

日本精工(NSK)は2023年3月27日、鋼材中の非金属介在物の大きさや量から、転がり軸受のはくり寿命を予測する技術を開発したと発表した。同発表によると、世界初の技術確立だという。

同社の軸受の実寿命は、ISO規格に基づいて算出したはくり寿命値と比較して長い傾向がある。このため、高精度で転がり疲れ寿命を算出できる技術が求められていた。

鋼材中の非金属介在物の大きさにはばらつきがあり、軸受の転がり疲れ寿命はこの大きさや量に左右される。NSKは、非金属介在物の大きさや量といった統計データを取得可能な、同社独自の技術「Micro-UT法」を工業的に実用化した。

同社の既存の管理方法と比較して、3000倍以上の体積を有する鋼材を5分の1の時間で検査できるという。冒頭の画像は、Micro-UT法のイメージを示したものだ。

また、非金属介在物をシミュレートした人工欠陥を軌道輪に設けた独自の回転試験法を開発した。これにより、さまざまな大きさの非金属介在物を起点としたはくりが再現可能となった。

加えて、人工欠陥周辺の応力を解析するシミュレーションにより試験結果を再現。はくり発生のメカニズムを解明した。この成果とMicro-UT法による非金属介在物の統計データを用いることで、はくり寿命の計算手法を確立している。

同社は今後、今回の計算手法を応用することで、寿命計算のパラメータである基本動定格荷重の最適化を図る。ラジアルころ軸受では、基本動定格荷重をはくり寿命で2倍相当に向上させられるという。これにより、機械のメンテナンス頻度の削減や機械の小型化を図る。

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Micro-UT法を用いた高精度寿命予測(世界初)で転がり軸受の動定格荷重アップを実現 | ニュース | 企業情報 | 日本精工(NSK)

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