マルハナバチをマイクロドローンに――農業モニター用超小型センサーシステムを開発

ワシントン大学の研究チームが、マルハナバチに載せることができるほど、小さなセンサーシステムを開発した。

ワシントン大学の研究チームが、ハチの背中に載せることのできる超小型センサーシステムを開発した。広大な農地を飛び回るハチに搭載することで、温度や湿度、作物の生育状態などをモニターできると期待している。研究成果は、計算機科学に関するACMの国際会議「MobiCom 2019」に向けた論文集に、2018年12月11日に公開されている。

広大な農地をドローンでモニターする場合、10~20分間しか連続飛行できないという航続時間が大きな課題だ。今回研究チームは、ハチの背中に載せて飛ばせるほど小型軽量のセンサーシステムを開発し、数時間にわたりデータを収集させることを試みた。ハチを使えば飛行のための電源は不要。夜間巣箱に戻っている間に、無線給電によってセンサーシステムを充電すればよい。

今回開発研究チームが開発したものは、重量約70mgのシステム駆動用バッテリーとセンサーや位置検出用など他のデバイスの合計102mgと、米7粒ほどの重さのセンサーシステムだ。これを搭載するハチとして、今回の実験では体長15~25mmとミツバチよりも少し大きいマルハナバチを選んだ。マルハナバチはミツバチに似ていて、トマトやナスの栽培の受粉でも利用されている。

ハチの位置を特定するのに重量のあるGPSは利用できない。その代りとして、基地局から信号を複数のアンテナから発信し、センサーシステム側で受信した信号強度とその角度から三角測量技術によって位置を特定した。サッカー場を使った実験では、80m以内でハチの位置を検出できた。

そしてセンサーが測定した温度や湿度、光の強度などのデータは、ハチが夜間に巣箱に戻る際、収集データを基地局にアップロードできる。データ通信には基地局の電波を反射することで行う「Backscatter」と呼ぶ技術を利用した。これにより必要電力はわずか10μWとなり、微小なバッテリーで十分に運用できる。

コンピュータ科学専攻のShyam Gollakota准教授は、「ドローンの代わりに、昆虫を使ってモニターできることを初めて実証した」と語る。現在のところ、30KBのデータしか保存できず、マルハナバチが巣箱に戻ったときしかアップロードできないが、将来的には、作物の生育状態をライブ配信できるカメラを搭載したシステムを開発したいと考えている。



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