4K/8K大型テレビのFPD向けレーザーアニール技術、局所的処理で製造コストを大幅削減 JST

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局所レーザーアニール技術

科学技術振興機構(JST)は2019年2月22日、フラットパネルディスプレイ(FPD)の画素点灯を制御する薄膜トランジスタ(TFT)を部分的なレーザー処理で高速化する「大型FPD向けレーザーアニール技術」の開発にブイ・テクノロジーが成功したため、これを認定したと発表した。開発技術の応用より、4K/8K大型テレビの製造コストの大幅な削減が期待できるという。

大型FPD向けレーザーアニール技術は、産学共同実用化開発事業(NexTEP)の開発課題としてJSTがブイ・テクノロジーに開発を委託していたものだ。同技術では、大型テレビ向けFPDの製造工程においてアモルファスシリコン(a-Si)膜のTFT素子のチャネル領域(数10µm角)のみを局所的にレーザーアニール処理し、ポリシリコン(p-Si)膜への再結晶化を促すことで、TFT素子を高速化することができる。

4K/8K放送は画素数が多く、画素あたりの表示時間が短い。大型液晶テレビで広く採用されているa-Si膜のTFT素子は電子移動度が低く、その鮮明な表示に対応できない。すでにスマートフォンでは、電子移動度がa-Si膜の数10倍〜数100倍のp-Si膜が使われている。しかし、スマートフォン向けp-Si膜はa-Si膜全体をレーザーアニール処理し作成するため、低価格化路線の大型テレビへの採用はコストの面で難しかった。

a-Si膜を局所的にレーザーアニール処理しp-Si膜を作成する技術の実用化にはさまざまな課題があったが、その一つが「大型ガラス基板上のa-Si膜のバラつきなどがあっても一定のTFT素子性能を確保するレーザー照射条件の制御方法」だった。p-Si膜の結晶サイズや均一性が照射条件により変化すると、TFT素子の電気特性に大きく影響する。そのため、p-Si膜の結晶状態をレーザーアニール装置内でリアルタイム検出してレーザー光源にフィードバックする技術が必要だった。

ブイ・テクノロジーが開発した技術は、TFT素子の構造から算出される反射光スペクトルと、実際に装置内で計測された反射光スペクトルとをリアルタイムでフィッティング処理し、結晶化状態を結晶化レベルとして数値化するものだ。同社は結晶化レベルと電子移動度の相関性を実証し、その原理に基づくリアルタイム結晶モニターシステムを作製。その測定値が実用的な精度を持つことを確認した。

本開発の最終段階では、大型テレビ向け局所レーザーアニール装置に、今回開発したリアルタイム結晶モニターシステムを実装し、実際のガラス基板に対する検証を終えている。そのため、本開発技術を搭載したレーザーアニール装置は早期の実用化が見込まれる。

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