光合成をやめた植物「オキナワソウ」を発見――沖縄本島の北部や石垣島に広がる照葉樹林の重要性を示唆 神戸大ら

神戸大学、森林総合研究所、沖縄美ら島財団総合研究センターらの研究グループは2019年2月28日、沖縄県の沖縄本島や石垣島の複数地点で光合成をやめた未知の植物を発見し、新たに「オキナワソウ」と命名したと発表した。

植物を定義づける重要な形質として「葉緑素をもち、光合成を行う」ことが挙げられるが、植物の中には「菌従属栄養植物」と呼ばれる、光合成をやめてキノコやカビの菌糸を根に取り込み、それを消化して生育するものが存在する。日本は植物の戸籍調べが世界でも最も進んでいる地域であるが、その中で菌従属栄養植物は正確な分布情報が解明されていない例外的な植物群であり、神戸大学大学院理学研究科の末次健司講師は共同研究者らとともに、日本国内における菌従属栄養植物の分布の調査とその分類体系の整理に取り組んでいる。

研究の一環として行った野外調査において、同研究グループは沖縄本島の北部や石垣島の複数の地点で、未知の菌従属栄養植物を発見した。末次氏を中心に、この植物の形態的特徴を精査した結果、この植物はホンゴウソウ属の植物ではあるが、雌花の花柱が棍棒状で多数の突起をもつ点でホンゴウソウそのものとは異なり、屋久島固有種であるヤクシマソウと近縁であることを明らかにした。

その一方で、ヤクシマソウは地上部全体が黒紫色であるのに対し、新たに発見されたこの植物は赤紫色である点、ヤクシマソウは植物体の高さが5cm程度であるのに対して、この植物は10cmを超えるものも見られるなどの点から、ヤクシマソウとも区別できることが判明した。さらに博物館に収められた標本を確認したところ、これまで沖縄本島や石垣島で採取されホンゴウソウと同定されていた標本の多くが、今回発見された個体と同一分類群であることが判明した。

新たに「オキナワソウ」と命名されたこの植物は、上述の通りヤクシマソウやホンゴウソウと顕著な形態的差異が認められた。その一方でDNA分析の結果は、オキナワソウはホンゴウソウとは遺伝的に分化しているものの、ヤクシマソウとの遺伝的差異は認められなかった。この結果は、オキナワソウとヤクシマソウは分化してそれほど時間が経過していないことを示唆している。そこで同研究グループは、オキナワソウを新種ではなく、ヤクシマソウの新変種として発表した。

沖縄本島のオキナワソウの雌花 (A) と雄花 (B)。
屋久島のヤクシマソウの雌花 (C)と雄花 (D)。
屋久島のホンゴウソウの雌花 (C) と雄花 (D)。

菌従属栄養植物は森の生態系に入り込んで寄生する存在であるため、生態系に余裕があり資源の余剰分を菌従属栄養植物が使っても問題のない安定した森林でなければ生育することができない。菌従属栄養植物が存在するという事実は、肉眼では見えないものの、キノコやカビといった菌糸の豊かなネットワークが地下に広がっていることを意味しており、今回の発見は沖縄本島の北部や石垣島に広がる照葉樹林の重要性を改めて示すものとしている。

関連リンク

プレスリリース

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る