米空軍、推力13000ポンドの極超音速エンジン「スクラムジェット」の燃焼テストに成功

U.S. Air Force photo

AFRL(米空軍研究所)は2019年8月5日、吸入空気を利用した極超音速エンジン「スクラムジェット」の地上テストにおいて、空軍史上最高推力を記録したと発表した。Northrop Grumman製のエンジンは、流量が従来の10倍で、マッハ4以上の状態で正常に作動し、推力13000ポンドを達成した。

スクラムジェットエンジンとは、「超音速燃焼ラムジェット(Supersonic Combustion RAMJET)」のこと。通常のジェットエンジンは、取り入れた空気を機械的に圧縮して燃焼室に送り込むが、マッハ5以上の極超音速飛行機に搭載されるスクラムジェットエンジンは、高速で流入する空気の勢いを利用して圧縮し、超音速の気流を保ったまま燃焼を行う。次世代の飛行機や宇宙輸送機向けのエンジンとして開発が進められている。

テスト用エンジンの長さは18フィート(約5.5m)。テストは、アーノルド空軍基地にあるAEDC(アーノルド技術開発センター)の試験ユニットを使って9カ月間にわたって行われ、累計30分の燃焼に耐えることができた。

米空軍は以前から極超音速研究の必要性を認識し、大型で高速の極超音速吸気式エンジンの計画を、10年前に試験機「X-51」プログラムで確立した。X-51で使用したスクラムジェットエンジンは、推力が400~1000ポンド。2010年の初テストでは燃焼時間200秒以上、マッハ5を達成した。

今回の結果はX-51を大幅に上回る。「新型エンジンはX-51の10倍の流量を持っている。新しいクラスのスクラムジェット機が可能になるだろう」と、AFRLの航空宇宙エンジニアのTodd Barhorst氏は語る。

「AEDCとAFRLと連携した今回の戦闘機エンジンサイズのスクラムジェットの一連のテストは、非常に驚くべきものだった。我々の技術が、戦闘機への大型の極超音速プラットフォームの提供をリードしていることを示した」と、Northrop GrummanのPat Nolanミサイル製品担当副社長は語る。同社は、HAWC(Hypersonic Air-breathing Weapon Concept、極超音速吸気式兵器構想)に参加しており、2019年6月にはRaytheonとスクラムジェットエンジンを搭載した極超音速機の開発で合意している。

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