ポリウレタンの世界市場、2019年は金額ベースで前年比7.8%減の見込み――需要は堅調も価格高騰が収まり縮小 富士経済調査

富士経済は2019年9月12日、堅調な需要が続くポリウレタンの世界市場の調査結果を「2019 ポリウレタン原料・製品の世界市場」にまとめたと発表した。

ポリウレタンはポリオールとイソシアネートを合成させた樹脂であり、断熱材やクッションなどの発泡品、塗料や接着剤などの液状品、エラストマーや皮革など多様な製品に用いられる。同調査では、ポリウレタンの原料や製品、原料製造時に使用される中間原料、製品製造時に使用される副原料と中間製品など、幅広い市場を網羅している。

同調査結果によれば、新興国の経済成長に伴い、主要なポリウレタン製品であるウレタンフォームや塗料、インキ、接着剤、シーリング材、エラストマーなどが伸びており、ポリウレタン原料であるポリオール、イソシアネートの需要も増加しているという。一方、価格については原料の生産トラブルや中国の環境規制強化などにより需給がひっ迫したことで2017年後半に高騰したが、需給が安定した2018年以降、反動により価格低下が続いていることから、金額ベースでは2018年は微減、2019年は大幅減を予想している。特にイソシアネートの縮小が大きく、2019年はポリオールは横ばいの一方でイソシアネートは2018年比15.5%減を見込んでいる。

ポリオールはポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエステルポリオール(PEP)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)が中心であり、PPGとPEPが汎用的に使用され、耐水性や可とう性(弾性変形のしやすさ)が求められる場合はPPG、耐熱性や機械強度が求められる場合はPEPと使い分けられている。PTMGはスパンデックス向けがメインで、ポリカプロラクトンポリオール(PCL)やポリカーボネートジオール(PCD)はポリウレタン樹脂ディスパージョン(PUD)向けが伸びているという。

イソシアネートはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)が汎用的に使用されており、混合して使用されることもある。TDIは毒性の懸念があることからMDIへシフトされつつあるが、柔軟性が要求される軟質ウレタンフォーム向けで根強い需要がある。環境規制強化に伴いPUDの原料として用いられる1.6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)や水添ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)は需要増加が予想されるが、HDIは原料の供給不足により生産量を増やせない状況にあり、代替品としてバイオマス原料を用いる1.5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)の採用拡大も期待されるとしている。

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