電動車用に希薄潤滑環境向け円すいころ軸受を開発――約7倍の耐焼き付き性、約10%の体積削減を実現 日本精工

日本精工(以下、NSK)は2019年10月10日、電動車用希薄潤滑環境向け円すいころ軸受を開発したと発表した。同開発品は、希薄潤滑環境下での耐焼き付き性を向上させることにより、ギヤボックスの信頼性の向上や潤滑システムの簡略化、高効率化、省スペース化を実現する。

近年、地球温暖化に伴う環境規制強化を背景に、自動車の電動化が急速に進んでいる。多くの電池を搭載する電動車の課題及びニーズとして、燃費や電費の改善による走行可能距離の延長や車内空間の拡大があり、特に電動車のギヤボックスには効率向上と共に省スペース化が求められている。このためギヤボックス用の軸受には、今まで以上にエネルギー損失の低減と小型軽量化が必要とされている。

転がり軸受の中でも円すいころ軸受は、ギヤボックスの小型軽量化にメリットがある反面、玉軸受に比べて負荷容量が大きいため、ころ端面と内輪つば面間で潤滑不足の際に焼き付きやすく、供給潤滑油量低減や潤滑供給システムの簡略化が困難という課題があった。今回の開発品は、潤滑不足の際の焼き付きを防止するために、保持器ポケット部のころ端面と接触する部位に微細溝を付加することで、毛細管現象により潤滑油を保持する機能を持たせた。

潤滑不足の際には、微細溝からころ端面に給油されることで、潤滑油が遮断された走行モードで約7倍の耐焼き付き性を実現し、焼き付きを防止するための供給潤滑油量を95%以上も削減可能にした。これにより、潤滑ポンプの小型化と潤滑油の攪拌損失ゼロを実現する。さらに、同開発品は保持器形状の最適化によって軸受幅の短縮が可能となり、同社の標準品に対して軸受の体積で約10%、質量で約5%の削減を実現した。

NSKは、同製品の売り上げとして2025年に年間20億円を目指すとしており、2019年10月24日から11月4日まで東京ビッグサイトで開催される「第46回東京モーターショー2019」に今回の開発品を出展する。

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